1月1日
皆さま、明けましておめでとうございます。
ミレニアムカウントダウンは浅草寺で!なんて初めは思っていたのですが大掃除の疲れが出まして、家でのんびりとワインを飲みながら2000年を迎えました。日付が変わるときにパソコンつけっぱなしだったのですが何も起きませんでしたね。
さしさわりのないY2Kをちょっと期待していたのですが‥‥
先程アメ横で買ってきた大トロはカルパッチョにしたら美味しかったです(お刺身も美味しかったけど)。
朝、舞台稽古が終わって以来弾いていなかった「廓三番叟」が心配になったのでちょっとお稽古。ちゃんと終わりまで覚えていました。歌舞伎座は2日にいきなり初日ですが、国立劇場はお正月に限り2日にもう一度舞台稽古があるので安心です。
午後は私の横浜の実家に年始。初日が明くと横浜にはなかなか行けないので、結婚して以来元旦のお決まりコースです。
三日間のお休みもおしまいで明日は初日です。久しぶりの序幕の仕事なので寝坊しないように気をつけないといけません。
さあ2000年はどんな年になるのでしょうか。
今年も「BEN'S CORNER」をよろしくお願いいたします。
1月3日
歌舞伎座、国立劇場ともに初日が明きましたが何だかあまり変化のない楽屋風景で、どうもこの頃の1月公演の初日は御正月らしさがありません。
何でかなあ?と思ったら、着物で楽屋入りする人がほとんどいないのですね。以前は御正月公演の初日というと俳優さんも紋付き袴で来る方が多いように思ったのですが、今年の初日もほとんどと言っていいほど皆洋服です。私たち長唄の楽屋でも5,6人は着物で来る人がいたのですが今年は一人だけでした。私も一昨年の仁左衛門さん襲名の時の初日には紋付き袴で出かけましたが、ここ二年はネクタイをしてスーツ着てといった具合です。
来年は着物で行こうかな。
1月7日
今日は暖かかったですね。歌舞伎座の「廓三番叟」を終わってから国立劇場に行ったのですが、上着を着て歩いていられないくらいでした。家に帰って天気予報を見たら20度近くになったところもあるそうで、1月だというのに変な陽気です。
3日の分を書いてあったのにアップするのを忘れていました。
1月12日
歌舞伎座で「矢の根」出演の羽左衛門さんが4,5日前から休演されて残念だなあと思っていたら国立劇場の「嫗山姥」の芝翫さんが体調を崩されて昨日から休演、何とか早く復帰していただきたいです。12日現在、それぞれ代役を「矢の根」が彦三郎さん、「嫗山姥」を福助さんが勤めていらっしゃいます。
国立劇場の楽屋というのは空調が全体で調整されているので、普段27度くらいあって暑くてとても乾燥しています。ずっと楽屋で座っていると酸欠になってきて眠くてしょうがないので、用のないときは楽屋事務所入口のベンチで本を読んだりパソコンをいじったりしていることが多いです。乾燥しすぎで三味線の事故も多く、皮が裂けたり棹にひびが入ったり象牙の糸巻きが合わなくなったり、といろんなことが起こります。
「嫗山姥」の第二場、塀外のところで八重桐が花道から出てきて一言科白があって「親の撥駒〜」という上手の独吟になりますが、この独吟を今月、私が弾かせていただいています(唄は鳥羽屋文五郎さん)。
黒御簾で弾く独吟の三味線は基本的に二梃で弾きますが、この芝居の独吟の三味線は一梃で弾きますので、糸を切ったり糸巻きが返ったり楽器のアクシデントがあると何にも音がなくなってしまうので責任重大です。ここ2,3日、私の三味線も乾燥のため糸巻きがおかしくなり、ちょっとした事で糸巻きがカラッと回りそうな危うい状態!。
毎日糸巻きに紙やすりをかけて当たりを直したりして今日は糸巻きの感触が元に戻りましたが、本当に弾いていてヒヤヒヤしました。
昨日から急に寒くなり、今までは暑くて座っていられなかった国立劇場の楽屋が心地よくなってきました。
1月16日
今日は久しぶりに、鉄人陳さんの四川飯店に行ってきました。
赤坂プリンスの裏の何て事のないビルの中にありますから、初めて行った家内は「あれっ?」という顔をしていました。
「怪味鶏」は蒸し鶏に特製のソースをかけたもので、棒棒鶏みたいなものなのですが味は全く異なるもの。成程「怪しく美味な」お料理。「蟹の卵とフカヒレの煮物」は実に味わい深くて「うーん!!濃厚!深いぞ!」これはメニューには出ていないのですが頼むと作ってくれます。
ここに来たら必ず食べる、定番の陳さんの辛い「陳麻婆豆腐」、白いご飯にかけて食べるといくらでも食べられちゃいます。中国山椒が独特な味を出していると思うのですが、これは家では作れません。はぁはぁ言いながらご飯お代わりしてしまいました。瓶から汲んでくれる紹興酒の逸品「古越龍山」も美味しかったなぁ。帰りにレジの横で売っていた四川の「豆板醤」や「特製一味」「棒棒鶏ソース」を買ってきました。
陳さんがお店にいれば挨拶に出て下さることがあるそうですが、今日はあいにくお留守だったようです。フレンチの鉄人、坂井さんのお店「ラ・ロシェル」に行ったときも坂井さんはいなかったし、皆忙しいのですね。
1月19日
国立劇場では今日から芝翫さんが復帰されました。お元気そうで何よりです。

「廓三番叟」開演前
今月は左より三人目に座っております
1月28日
26日に歌舞伎座が終わり、27日は国立劇場の千龝楽。歌舞伎座に行かなくてもいいので朝はゆっくりでしたが、博多のホテルに送る宅急便を作らなくてはいけないので、スーツケースを引っ張り出したり朝から大忙し。いつもは近所のコンビニまで出しに行くのですが、重いかばん3個を見ているうちにくたびれてしまったので、宅急便に電話して取りに来てもらいました。本当に助かります。
今月の国立劇場賞は中村東蔵さんで、千龝楽の終演後に楽屋の頭取部屋前で表彰式がありました。私たちは荷物を片づけてから、歌舞伎座に行って博多座行きの荷出し。これは劇場に直接届くもので、着物や予備の三味線を詰めて荷札を付けて歌舞伎座の楽屋口に出します。今回は結構な荷物の量で、歩道の方から楽屋のドア近く天井まで荷物が積まれていてました。
今日は一日休み。天気もいいので昼間はカメラを持ってぶらぶらしようかなと思っていたのですが、ここ連日続いている寒さはますます厳しく、外に出た途端そんな気はどこかに行ってしまい医者に行って風邪薬をもらってきたりして早々に帰ってきました。午後は部屋を片づけたり、ビデオを見ながら「封印切」の復習などをしてのんびり過ごしているうちに日も暮れてしまいまして、本当にお休みの日の時間の過ぎるのは早いものです。
明日の10時45分の飛行機で博多に行くのですが、九州はここ2、3日雪が降っているそうです。博多に一ヶ月の長逗留は初めてです。
新しい劇場に初めてのホテル、博多は食べ物は美味しそうだし、大阪や京都に行くのと違ってちょっと新鮮な感じのする旅ですが、如何なことになりますでしょうか。明日からは「楽屋日記」、博多よりお送りします。
1月29日
♪ラ〜ブレター、フロム、カナダ〜
今朝、羽田空港の喫茶店にいたら、さる芸能人が入ってきました。
「おっ、カナダからの手紙!♪ラ〜ブレター、フロム、カナダ〜、えーと誰だっけ?」題名やら歌詞ばかり出てきてしばらく御本人の名前が思い浮かびませんでした。そのあと飛行機に向かうバスに乗ると、また「ラ〜ブレター、フロム、カナダ〜♪」、平尾昌晃さん、二つ前の席に座っていました。同じ福岡行きだったのですね。
快晴だったので快適なフライト、12時半に福岡空港着。今までは空港から博多まではいつもタクシーだったのですが、今日初めて地下鉄で行きました。乗ってみると空港から中洲川端は15分くらいで、すぐ着いてしまいました。
初めての博多座ですから勝手がわかりませんので駅から楽屋に行くまでが一苦労。私たちの楽屋は地下二階で、どうも窓のない部屋というのは圧迫感があって過ごしにくそう。空調もあまり良くないようで、聞いたところによると去年のこけら落しの時に六梃の三味線が裂けたとのこと。先が思いやられます。
稽古場になるリハーサル室は同じ階にありますが、ここは広くていい稽古場です。新しい建物ですからきれいで気持ち良いです。
今日の稽古は「封印切」「宮島のだんまり」「馬盗人」の附立でしたが、結構とんとん進み「だんまり」を終わって私は5時にお役御免。
楽屋を出てこれまた初めて泊まるホテルに向かいましたが、部屋に入ってあんまり狭いんでびっくりしました。パンフレットのシングルの部屋の写真は広そうに見えたのですが、どうもあの写真はかなり誇張があります。私も28ミリの広角で明日、同じ角度から撮ってみよう。まぁ撮って比べてみてどうなるわけでもないんですけれどね。
部屋は狭いけど劇場まではすぐだし、中洲の真ん中なので賑やかで何でもあるし、まあ良しとしますか。
1月30日
今日は私、少し落ち込んでおります。というのも自分の不注意で三味線の皮を裂いてしまったのですよ。
楽屋で「封印切」の曲をみんなで復習っていると「これから封印切の総ざらいにかかります」とのアナウンス。急がなきゃというのでアーミーナイフのやすりで爪を整えて(これ一本あるとたいていの事は出来てしまうので三味線かばんの中にいつも入れてあります)何となく気が急いていたので、それをたたまないでかばんの中に放り込んだのです。三味線をもって立とうとして、トイレに行くのを忘れていたので再び三味線をかばんに置いたとき「ザクッ」という嫌な音が!
なな、何と!さっき放り込んだアーミーナイフのやすりの切っ先が上を向いていて、裏皮に2センチくらいの裂け目が出来てしまったのです。あ〜あ・・しばし呆然。
予備の三味線は持ってきていたのですが、もう稽古が始まるので、とりあえず瞬間接着剤で裂け目を埋め「封印切」の稽古の間は何とか持つかなと思ったのですが、稽古場で待っている間に「メリッ」「ピシッ」と嫌な音がして、最後にひと際大きく「バリッ」と音がして一文字に裂けてしまいました。自分の楽器を組むのも間に合わないので、先輩の三味線をお借りして急場をしのぎましたが、稽古の間ちょっと動揺が続いていたので最後まで落ち着きませんでした。
自然に裂けたのならまだ諦めがつくものの、メインに使っている三味線の皮を自分の不注意で裂いてしまったので実に嫌な気分。今まで十何年か毎日このナイフを使っていますが、こんなことは初めてです。何かどこか気が抜けていたのでしょう。今度から気をつけようっと。 裂けた三味線は胴だけ宅急便で明日三味線屋さんに送り、特急仕上で再び博多座へ送り返してもらう事にしました。
明日からは舞台稽古です。
1月31日
いやー、今日の博多は寒かった。午前中に天神をぶらぶらしていたのですが、ビルの壁についている温度計を見ると2.0℃とか3.0℃とか出ていて、東京にいてこんな気温になったことはありませんでした。今にも雪の降りそうな空模様で、午後少し晴れ間も見えましたが、とにかく一日寒かったです。
今日は舞台稽古で、初めて博多座の舞台に行きました。舞台は4階にありまして、この階には幹部俳優さんの楽屋もあります。
新しい劇場には珍しく、ここの黒御簾はちゃんと独立した部屋になっています(おそらく可動式で必要に応じて動かせるのでしょう)
中もゆったりしていて、花道の位置と黒御簾の角度のバランスが良いのか揚幕もよく見えますし、久しぶりに仕事のしやすい黒御簾でした。客席にも出てみたのですが、椅子の配置とかよく考えられていてとてもよく舞台が見えます。ロビーの内装も立派だし皆感心することしきり、新しい劇場に来てこういう体験をするのは珍しいです。
2月5日
2日に博多座の初日が明きました。稽古中はすっきりしない天気だったのですが、初日は朝から晴れて気持ち良かったです。客席も大入りで賑々しく良い雰囲気。
今月の私の仕事は夜の部の「封印切」だけなので、昼間は博多の町を歩き回っております。博多には今まで仕事で何度も来ていますので、天神、中洲など賑やかな所はかなり歩き回っているのですが(これも夜がほとんどなので、ネオンが入らないと景色が分からない)それぞれの位置関係が良く分からないのです。それに来るたびに大きな建物があちこちに出来てそのへんもよく分からなかったので、今月こそは博多の町がマスターできるのではないかと思います。
現在博多座のある界隈は以前はもっとゴチャゴチャしていたような記憶があるのですが、今は「スーパーブランドシティ」「ホテルオークラ」「福岡アジア美術館」「博多座」などからなる「博多リバレイン」という大きな複合施設になっています。博多座の前の通りの名が「明治通り」、もう一つ北側の大きな通りが「昭和通り」とどこかで聞いたことのあるような通りがありまして、これがどこかで交差するとそこは「大関横丁」かい、なんて言っていたのですが、博多では「大濠公園」でぶつかるのです。
今日は中洲の南、「キャナルシティ」に行ってきました。まあとにかく大きな広い建物で、何でもあるショッピングタウンです。ホテルも「グランドハイアット」「ワシントンホテル」と二つあり、全部見て歩くにはずいぶん時間がかかりそうです。
昨日あたりから少し暖かくなったので歩いていても楽になりました。
2月7日
昨晩(6日夜)のこと。
11時頃シャワーを浴びていると電話が鳴りまして、出ますと「片岡孝二郎です。今 Aさんと飲んでいるのですが、これから出ていらっしゃいませんか」とのお誘い。Aさんは歌舞伎オフで知りあいになったインターネット歌舞伎友達で、木挽町界隈でよくすれ違ったりします。
さっそくお二人のいるお店に行くと、そこはなんと正統派のジャズ喫茶。孝二郎さんとAさんと話をしているうちに、三人ともジャズが好きということが判明、それもみんな結構マニアック!私も独身の頃、BLUE NOTEやPRESTIGEなどのモダンジャズのオリジナル盤(初版プレスで500枚くらいしかない)蒐集でジャズのエッセイに載ってしまったことがあったり、オーディオも自分で真空管のアンプを作ったりとずいぶん熱中しました。本当にあの頃は稀少盤ばかり扱っているレコード屋とか秋葉原のオーディオ屋ばかり歩き回っていました。
とにかく御機嫌なお店でレコードは2000枚もあるし、オーディオも、プレーヤーは「トーレンス」、スピーカーはJBLの4343、アンプはちょっと古いマッキントッシュのプリとパワー。ジャズを聴く為の基本的で最高の物がそろっていました。三人でホームページのことや(孝二郎さんは現在開設準備中)芝居のこと、ジャズのことなど話し込んでいるうちに気がつくと3時!。こりゃ大変だ、てんで退散することにしました。
朝起きると10時半。寝たのが4時頃ですから仕様がないにしてもこりゃ大寝坊。今日の昼間はコインランドリーに行って洗濯。夕方楽屋に行くと、この間三味線屋さんに送った胴が張り上がって届いていました。もう粗相がないように気をつけます。
明日、あ、もう今日ですね。天気予報では福岡は雪なのですが、どうなるのかなぁ。
2月8日
今日は雪になるという予報でしたが、見事当たりまして朝から小雪が舞っていました。しかし少しすると晴れ間が出てきて、ホテルの部屋も掃除するのに空けなくてはならないので天神の方までぶらぶら出かけました。
雪なんて言っていたけどたいしたことないのかな、とパソコン屋や本屋をしばらく眺めて外に出ると今度は吹雪になっていまして、早々にホテルに戻ってきました。その後も晴れたり雪になったり福岡方面は大荒れで、夕方出かけると寒いところに風が強いのでもう顔は痛いし楽屋に入るまで大変でした。ビルの壁にある温度計を見ると「0,9℃」こりゃ寒いですね。
ホテルの部屋の冷蔵庫が全然利かないので、今まで何回か苦情を言っていたのですが、全然直らないので明日部屋を替えてくれるとのこと。だいたいホテルの冷蔵庫というのはそんなに冷えませんが、私の部屋の冷蔵庫は手を入れるとホワッと暖かいのですから困ったものです。
2月14日
連休にかけてインターネット歌舞伎友達が続々博多座遠征!夜な夜な遅くまで楽しく過ごしてしまったのでちょっと疲れが出て、ようやく中日となりました。
この中日というのも、その時の気分で「もう中日か」と感じるときと「まだ中日か」と感じるときと様々ですが、今月の私の場合は後者の方ですね。
来月歌舞伎座の昼の序幕に「歌舞伎草子」が出ます。これは昭和11年に十四代杵屋六左衛門師が作曲したものですが、私は今までに舞踊会で1,2回しかやったことがありません。この「歌舞伎草子」は普通に演奏して30分くらいかかりますから覚えるにもちょっと大変なので、出る人は早々と譜面やテープを手に入れて覚える作業に入っていました。私は、というと3月の仕事は演舞場といわれていましたので「みんな大変ですなあ」なんて稽古しているのを横でのんびり聞いていたのですが、ある日のこと「やっぱり栄十郎さんにも覚えといてもらったほうが良いかもしれないなあ」とのお達し!
急に「覚え物」が自分の身に降りかかってきました。ということで来月は歌舞伎座から演舞場にまわることになるのかな。しかしまた覚えるまで難行苦行の日々となります。
連休から今まで暖かい日が続いていたのですが、今晩から寒波がやって来るとの予報。「封印切」終わって外に出たら本当に風は強いし寒いし明日はどうなることやら。
今日博多に来て初めて屋台に行きました。狭い中に8人くらい座って、みんな酔っぱらってドガジャガになっていますから初めて会った人でもすぐ友達になってしまうのですね。食べ物は美味しいし面白かったです。
2月15日
天気予報通り、朝から吹雪いていて風は強いし外をぶらぶら歩くような感じではありませんが、3日くらい前に歯の詰め物が取れてしまいどうも鬱陶しいのでフロントで歯医者さんを聞いて、朝行ってきました。取れたのを嵌めるだけならすぐ終わるかなと思ったのですが、先生に見ていただくと、詰め物の下で少し虫歯が進んでいるようなのでちょっと治療の必要ありとのこと。急きょ麻酔を打ってガリガリ削ることになりました。何度経験しても歯科の治療というのは嫌なものですが、まあきちんとしておかないと痛い目を見るのは自分ですから、ひたすらドリルの嵐の通り過ぎるのを我慢して、型をとって終わりました。もう一回行けば終わりとのことで良かった!
口の左半分、麻酔で感覚がないのでコーヒーも飲めないし、ホテルに帰ってちょっと間の空いてしまった「楽屋日記」を更新。2時間くらいたってようやく口の感覚が戻ったので食事をして、覚え物のテープを聞いたり三味線を弾いているうちに眠くなってそのままベッドに転がっていたら寝込んでしまったのです。気がついたら5時20分、楽屋に行く時間ではありませんか!慌てて支度をして出かけたのですが、何だかボーッとしていて頭は痛いし風邪っぽくなってしまいました。
封印切が始まって三味線弾いている間も、太鼓や鳴物の音が頭に響いてズキズキするし、咳をしても頭が割れそうに痛いし今日は薬を飲んで早く寝ることにします。
2月18日
先日ひょんなことからジャズ好きなのが露見した片岡孝二郎さんと、ブルーノート福岡にマッコイ・タイナートリオを聴きに行きました。
マッコイ・タイナーは、今は亡きテナーサックスの巨人、ジョン・コルトレーンの黄金時代を共にしたピアニスト。今までに東京のジャズクラブでいろいろなビッグネームの演奏を聴きましたが、マッコイ・タイナーだけは縁がなく生で聴いたことがありませんでしたので、こちらに来てチラシを見たときは嬉しくて、孝二郎さんともすぐ話がまとまって聴きに行くことになったのです。
ブルーノートの席というのは先着順なので、私は「封印切」が終わって孝二郎さんより一足先にすぐブルーノートに行ったのですが、もうすでに30人くらい並んでいます。8時半開場、どんな席になるかなと思っていたらピアノのすぐ前で、マッコイまで1メートルぐらいの所!手もよく見えそうだし思いがけなく良い席になりました。
9時20分頃孝二郎さん登場。座って「お疲れさまでしたぁ」なんてグラスをカチンとやっているうちに開演時間となり、メンバーがステージに現れます。そこで別に呼び出し(相撲じゃないです)がかかり、マッコイ・タイナー登場!雑誌などで見た顔より少し歳をとったかなという感じですが、「本物のマッコイ」がそこにいました。
今回はエイブリー・シャープ(ベース)、アーロン・スコット(ドラム)にチコ・フリーマン(サックス)を加えたカルテットでの演奏。
全員スタンバイするなり、いきなり凄まじい演奏が始まり、リズムに身体をゆだねているうちに約1時間半の演奏はあっという間に終わってしまった感じでした。演奏中、私はマッコイの背中と横顔をずっと見ていられたのですが、こういう演奏を間近で見ていて面白いなと思うのは、目線で交わされるミュージシャン同士の細かい合図です。私が見て分かるのはソロの替わり目やエンディングくらいですが、そういういろいろな合図が交わされる瞬間の緊張感というのは、何か私たちの仕事にも共通するものがあって興味がつきません。とにかくビデオやジャズフェスティバルのテレビ中継でしか見たことのなかったマッコイ・タイナーのピアノ、指使い、弾いている間の唸り声(弾きながら歌っているんですね)まで間近に見て聴くことが出来て感激でした。
いよいよ3月演舞場「小笠原騒動」の稽古割りが出ました。初日まで日数がないので結構大変です。
2月23日
来月の歌舞伎座の「歌舞伎草子」の抜き差しがようやく分かり、覚えなくてはならないところがはっきりしまして皆ひと安心。さあこれから追い込みにかからなくては、と思っていたら、私は歌舞伎座の方は人が足りないとき(3月の10日過ぎらしい)にだけ行けばいいということになり何だかちょっと気が楽になりました。でも早めに覚えておくに越したことはありません。
演舞場の稽古は日数がないので27日から始まります。
「小笠原騒動」は長い芝居ですが、大変なのは大道具ですから段取りが決まれば結構テンポよく進むのではないかと思います。でも実際初日が明くまでは大変なんでしょうね。
6月の博多座のチラシが出ました。ちょっと御紹介しますと
6月2日初日→26日千龝楽
昼の部 夜の部
一、鳥辺山心中 梅玉 時蔵 一、俊寛 吉右衛門
二、藤娘 雀右衛門 二、二人椀久 雀右衛門、富十郎
うかれ坊主 富十郎 三、魚屋宗五郎 富十郎
三、河内山(質見世から玄関先)
吉右衛門
当たり役ばかり集まった狂言立てですが、播磨屋さんの「河内山」や「俊寛」は毎日三味線弾きながら黒御簾から見ていても飽きないし楽しいし「魚屋」の黒御簾はスリルがあるし、仕事をする側からするとまあ大変ですが面白そうです。
2月26日
さあ、千龝楽です。憂鬱の種だった「歌舞伎草子」はどうやら覚えられまして、昨日楽屋で復習ったときに譜面無しで迷わず最後まで弾けました。良かった!でもこれで安心して弾くのを忘れるとすぐ怪しくなってしまうのです。もう少し復習わないとね。
千龝楽というのは終わった人から次々と帰ってしまうので、楽屋の中は時間が経つにつれガラーンとしてきて何となく寂しい感じです。「封印切」に残っている人でも、唄の人は最終の飛行機に間に合うのですが、三味線弾き三人は間に合わないので翌日帰京となります。
2月27日
中洲のホテルから空港まで地下鉄で約15分、福岡空港は便利です。
今朝は8時15分の飛行機で帰京なので7時頃ホテルを出ましたが、どうも昨晩あまり寝られなかったのでまあ眠いこと。久しぶりにジャンボの二階席に座りましたが、日曜日の朝ということもあったのかガラガラ、快晴だったので富士山がきれいに見えました。
11時頃家に帰り着きまして朝ご飯を頂いてほっと一息。今日は2時から「小笠原騒動」の稽古がありますので、黒御簾の譜面を揃えて昼過ぎに家を出て松竹稽古場へ。今回の「小笠原騒動」は前回より台本が整理されていて物語がすっきりしています。稽古日数が少ないので今日は時間をかけるかなと思ったのですが、大人数の行列が出たりするややっこしい場は二度返してやり、その他は一回、四時間ちょっとで全部が終わりました。決まると芝居中だけで三時間半くらいに収まるのかな。
昼間自宅では家内の友人のフラワーアレンジメントの先生が見えて講習をやっていまして、夜はそのまま宴会で鴨鍋大会。私も帰って鴨鍋に間に合いました。
2月28日
昨晩は賑やかに過ごしてしまったので、今日も寝不足。眼がごろごろしています。
歌舞伎座の「歌舞伎草子」には人手不足の日だけ行けばいいことになったのですが、今日は初めての「附立」の稽古。様子が分からないので私もちょっと行ってきました。
9時半頃歌舞伎座に行くと、楽屋口には博多からの荷物を積んだ大きなトラックが横付けになっていて荷物を下ろしています。下の方に重ねられないうちに社中のトランクを見つけて楽屋に入れて荷物のばらし。10時から歌舞伎座の楽屋で長唄だけで稽古。2月、うちの社中は東京と博多でばらばらになっていたのでこれが全員で合わせる初めての稽古なのです。いろいろ細かく稽古して三味線の手の確認をしているうちにもう10時50分、皆でロビーに行きます。
11時から稽古開始。「歌舞伎草子」は登場人物が多いのでロビーは人で一杯です。覚えたての曲できっかけが多いので、あまり踊りを見ている余裕はありませんでしたが、だいたいの様子はわかりました。
12時から演舞場で「小笠原騒動」の稽古が始まるので、早々に楽器をたたんで博多から戻ってきた自分の荷物、予備の三味線を持って演舞場へ。三味線二梃と着物二組は重かったです。
私たちの楽屋は地下2階で、いつもは出囃子で大人数の時でも6畳に8人くらい詰め込まれちゃうのに、今回は役者さんが少ないのか地下2階の楽屋はすべて鳴物、長唄で使えるとのこと。一部屋3人くらいで広々と使えて今回はとても楽です。演舞場の稽古は地下2階の食堂でやります。芝居の方はもうだいたい固まったので大きく止まることもなく3時半に終了。ちょっと疲れ気味なので今晩は早く寝ようと思います。