1月1日
九十九里浜より「あけましておめでとうございます」
さて年を越しまして花火も終わったので民宿に戻り3時まで時間つぶし。あまり眠くないので皆とおしゃべりしたりするうちに、どこかで焼酎を買込んできた人がいて「一杯くらいずつなら酔っぱらいませんよ」というので乾杯。これがだんだん一杯で済まなくなりまして皆深夜になり変にテンションが上がってきまして「いいちこ」が出てきたり「JINRO」が出てきたり、いったいどこで調達してくるのか次から次へと新しいボトルが開いて、そうこうするうちに寝ていた人が起きてきてまたそこに加わり酒盛りの様相を呈してきました。
そんなところに勘九郎さん到着。
「大変なものにお付き合いしてくれてありがとう、もうどんどんやってよ。いくら飲んだってどうせ舞台に乗ればすごい寒さですぐ醒めるから大丈夫だよ」そこから勘九郎さんが混ざって座敷はいっそう賑やかにドガジャカな宴会状態。まだ雨が降っているので3時からのサウンドテストが4時半に変更。うわっと勢いよく飲み始めたのですっかり出来上がっている人もいて「あいつ大丈夫か?ちょっと寝かしとけ」とか飲んでいる横で毛布かぶって眠る人あり。
3時を回るころにはかなり眠くなってきてつらい状態ですが、眠いのになおも騒ぎは続き4時半、雨が上がったのでサウンドテストになりました。まだ着替えるには早いので洋服のまま着込んで舞台へ。
大道具さんはシートをかけてあった所作板を舞台に並べ山台を作り、NHKの人はマイクのセッティング。時間にあまり余裕がないのですぐ舞台に並んでマイクのテスト、空を見るとさっきまでの雲はすっかり何処かに飛んでいってしまって星が見えています。晴れてきたので気温が下がり先程よりかなり寒くなっています。手は冷たくてこちこちだし、さっきまで酔っぱらっていた人もすぐ白い顔になるくらいの寒さ、明け方は大変なことになりそうです。
震えながら民宿に戻り私たちも着替えも始めました。皆各自考えた防寒スタイルなので、いったいこれから何しに行くのという格好で部屋の中は実にへんてこな景色。ダイビングのウェットスーツを着る人、そば屋の出前のレインコート状のものを着る人、極厚のらくだのしゃつにステテコ・・皆、人の格好を見ては大笑いしながら着替え。私もダマールに極地用のシャツ、フリースのセーター、厚手の半襦袢、長襦袢、紋付きと襟元を見るとまるで十二単。すっかり上半身が肥大していつもしている帯が足らなくなりました。懐と背中、足袋の裏にホカロン貼ったり重装備でいざ本番へ。
6時「連獅子」開演。風はそれほどなく着込んだものの効果は絶大で体は温かいし思ったよりつらくなかったですがただ一ヶ所露出している手は冷たくて、合間があるときはホカロンを握ったりしていないともうコチコチで撥を落としそう。大薩摩が始まるころにはすっかり空が明るくなり6時50分頃大きな拍手の中「連獅子」終了。三人での髪洗いはなかなか見事でした。
「連獅子」の最中には見えなかった初日の出ですが、終わってすぐ舞台で勘九郎さん、勘太郎さん、七之助さんによる鏡開きが行われている時に水平線の雲の合間から日が射してきて、きれいな初日の出を見ることが出来ました。
もうとにかく寒いのでいそいで部屋に戻り着替え、しかし寒かったなぁ。道路の渋滞も思ったよりひどくなく早く駅に着き、8時23分の特急に乗ることが出来ましたがこの頃になって風が強くなってすごい寒さ。舞台にいる最中、風が弱くてよかったです。
結局夜明かしの間騒いでいて私も家内も寝ずじまい、徹夜してしまいましたので電車に乗った途端に怒濤のような睡魔。
9時半には錦糸町に着き10時には家に帰ってきました。
昨日からの雨では一時は中止になってしまうのではないかと思われましたが、本番には見事に晴れて無事に今年最初の仕事「21世紀初日の出連獅子」が終わりました。
あーそれにしてもこの眠さ、何とかならないかなぁ。
慌ただしいもので明日は初日です。昼夜の間に浅草寺に初詣でに行こう。

フジフィルムのCMではありませんが
初日の入、撮っちゃいました
1月5日
九十九里から帰ってきたその日は一日中眠くて、時差ボケになったようでした。昼間寝てしまったので夜中に目が覚めたりそんな状態で2日は浅草公会堂の初日。元旦夜明かし組は皆眠そうです。
私も「正札」で幕が明いてもどこか頭が覚醒しないような感じ、何だかぼーっとしたまま1日終わってしまいました。
浅草公会堂というのは全体的にとても乾燥していまして、いつも三味線が何梃か裂けたり風邪が流行ると熱を出す人が連続したりあまり良いことがありません。
今回も暖房の効きすぎで楽屋の湿度は30%とカラカラ。皮はカンカンでいつ裂けてもおかしくない状態、象牙の糸巻きは早くも具合がおかしくなってきてちょっとの衝撃でカラッと返ります。お囃子さんの方も深刻で鼓に濡れ手拭いをかけたり加湿器を置いたり大変です。
楽器だけではなく人間も調子が狂ってきて目は乾く、咽喉は渇く、顔は乾燥でがさがさしてくる、酸欠で眠くなる、と初日が明いてからどうも体調が今一つ。
お正月の浅草は賑やかで楽しいですね。
三が日はすごい人出でお参りにも行けませんでしたが、仕事始めの昨日あたりから少し空いてきましてちょっと遅い初詣に行ってきました。五重の塔通りから六区に抜けると野趣あふれる居酒屋が並んでいる通りに出ますが、みな表でモツ焼きとか煮込みをつつきながらビールだかホッピーを飲んでてうらやましいかぎりです。中身はどろどろで吹きこぼれでまわりがコテコテになっている煮込みの鍋、ちょっと頼むのに勇気がいりそうですが食べてみたいな。
2日に去年の藤間会の「娘七種」の放送がありましたね。長唄が「立わかれ」という変則の並び方をしていますので私は普段座らないようなところに座っています。普段の山台で考えるとここは唄の陣地なので客席の見え方も全然違うし、目の前には立鼓の望月太左衛門さんがいらっしゃったり何だか新鮮でした。
今日は5日だからもう町中は普通になるだろうなと思ったら行きの東武線がすごく混んでてラッシュアワーの様。何だこりゃと電車に乗り込むとこれがみんな競馬新聞を持ったおじさん達、浅草駅からJRAのある六区に向かう道も競馬新聞に赤鉛筆のおじさん達がぞろぞろ。今日は今年初めての競馬の「金杯」でした。
昨日のどっちの料理ショー「親子丼に天そば」対「カニチャーハンにラーメン」を見ていて「うー親子丼食べたい」とか「ラーメンラーメン!」と夕食は済んでいるのにやたら食欲を刺激されて蕎麦つゆ物が食べたくなり、今日は昼間家に帰ってきておそばを茹でて大黒屋の天ぷらで天ざるをやり、夕食は鳥肉、卵、手の付いた丼物用の鍋を買ってきて親子丼を作りました。更科の蕎麦つゆを生のまま使ったら美味しく出来ました。今度は中華物に挑戦。
1月14日
何となく早いもので浅草公会堂は今日中日になりました。
先週の出来事をいろいろ思い出すまま。
1月5日から銀座和光6階、和光ホールで「稲越功一写真展・中村吉右衛門」が開催されていますが、10日にそのオープニングパーティーが写真展会場で催されました。私も招待状を頂戴しまして浅草の芝居が終わった後、家内と行って参りましたが、素敵な写真がたくさん展示されているなか大勢のお客様でとても賑やかでした。

稲越功一写真展「中村吉右衛門」オープニングパーティーにて
「元旦は大変でしたね」と播磨屋さんの奥様、私のHPを見てくださっているお嬢さん観子さん、瓔子さんにもお目にかかりました。
どのお写真も素晴らしくて「これ飾っときたい」「これ欲しいっ!!」騒ぎながら会場を一周、はぁー楽しかった。
稲越功一写真展「中村吉右衛門」1月16日(火)までです。
銀座和光6階 和光ホール
(午前10時30分〜午後6時:最終日は5時まで)

記念撮影 左から私、家内、瓔子さん、観子さん
この日のハプニング
浅草から来ましたので銀座に着いたのが7時ちょっと前。銀座駅のキオスクでデジカメ用に電池(640円)を買ったときに5千円札を出しました。パーティーは7時半まででちょっと気が急いていましたのでおつりの小銭だけもらってぱっと改札を出て、大きいほうの4000円のことなどすっかり忘れて和光に向かいました。
その後「ん!さっき確か5千円札出したけど、おつり小銭しかもらわなかったなぁ・・」と思い出したのが写真展の会場を失礼してエレベーターに乗ったとき。急いでキオスクに行っておばさんに「あの、さっき・・」というと「まったく!声かけたのにさっさと階段登って行っちゃって、追っかけたけどわからないし。はい、残りの4000円」
キオスクのおばさん、ちゃんと取っておいてくれてありがとう。
沢村宗十郎さんの訃報が楽屋の廊下に張り出されたのが12日のこと。
好きな役者さんだったのに残念です。いちばん近いところで思い出に残っているのは一昨年の金毘羅歌舞伎での「ちょいのせ」、NHKの録画がある日も「立たぬときにはバイアグラ」と大きな声でおっしゃって、のびのびと奔放な楽しい舞台でした。
つつしんで冥福をお祈りいたします。合掌
私の母の実家が蕎麦屋で、祖母が作ってくれるカツ丼が実に美味しくこれが私のカツ丼の味の基本となっているのですが、いままで他所で食べて「むむっ!」というような美味しいカツ丼に出っくわしたことがありません。
おつゆの濃さ、カツ(これは絶対にラードで揚げたロースですね)、煮えてきた溶き卵の固まり具合などの要因を自分の好きなように作ってみたいと思っていましたが、先日丼物用の手なべを買ってきましたので、かねてより念願の「自分の気に入った味のカツ丼」を作りました。といっても初めてのことですし、お腹も空いていたので手っ取り早く行こうと芝居の帰りがけに浅草の松屋の「井泉」でロースカツ(閉店30分前で叩き売り状態になっています)他にタマネギ、三つ葉を買って行って永坂更科の蕎麦つゆを使って作りました。
結果、ストレートのつゆではちょっと辛いのでみりんを少々たらしたら良い具合になりまして美味しく出来ました。人さまにお出しするにはもう少し研究しなくちゃね。
浅草は美味しいお店がいっぱいあるのでお昼を食べるところを考えていると楽しいです。「洋食のヨシカミ」のハヤシライスにハンバーグ、「尾張屋」の上天せいろ、「オオミヤ」のカレー、天丼の美味い店「まさる」の江戸前天丼、「並木薮」の鴨南蛮・・迷いますねぇ。
食後のデザートは「アンジェラス」でアンジェラス(チョコが好きです)を2日続けて頂きました。

アンジェラスの「アンジェラス:チョコレート」
1月21日
一昨日の夜中から胃が痛くて、昨日はそれに加えて風邪っぽくなってしまいました。胃は痛いし身体中あちこち痛いし夜の部は実にしんどかったです。いつごろから降り出したのか夜の「大蔵卿」の檜垣が終わってロビーから外を見ると浅草寺境内は雪景色、観音様の大屋根は真っ白。忠臣蔵の討ち入りか入谷のそば屋か、まるで浮世絵のようでした。
日記というよりは週間報告の様になっていますが、今週あったこといろいろ。
1月17日、という日は過去10年くらいのうちに社会的に大きな出来事がいろいろ起きています。なぜ特別にこの日に起こった事を覚えているかというと、別になんて事ぁない私の誕生日だからなのです。
「今日は1月17日。また一つ齢を重ねてしまった」などと朝起きて感慨深く「ふわぁー」と欠伸などしながらテレビをつけると「湾岸戦争、勃発!」とか「阪神淡路大震災」の高速道路が横倒しになった映像が目に飛び込んできたりしてびっくりしたことがありました。どうも私の誕生日には何か起こるなぁと思っていたら5年くらい前になるのかな、「中村富十郎さん、婚約!」というお目出度いニュースがワイドショウをにぎわして、またまた1月17日に何かが起きたのですね。それ以降は何事も起きず平穏な誕生日を送っております。
2月は松竹座に行くことになりまして、稽古割りが出ました。鴈治郎さんの襲名の時1,2月と居続きで大阪にいましたが、2月の大阪は久しぶり。去年は博多にいましたしこの頃2月が旅づいていますね。
伝法院通りの塀側は着物屋、洋服屋、骨董品、何となく怪しくて不思議なお店がいろいろ並んでいます。公会堂のロビーからこの通りが見下ろせるのですが、ある日ちょっと胡散臭い「高級紳士服」と看板にある洋服屋さんでスパンコールがぴかぴかの赤い派手な上着を試着しているおじさんがいました。見ていると素見というわけでもなく鏡の前で大まじめの試着。横で店の主とおぼしきおじさんが「いやーよくお似合いですよ」とか何とか言っているのでしょうね。寸法を見たり前を合わせたりしています。ロビーから見ている私たちは「あれ本当に買うのかな」と妙な期待で可笑しくてしょうがない。そうこうしているうちに主が奥からもう1着「こちらも着てみますか」といった感じで派手な上着を出したときにはロビーで皆笑い転げました。顛末を見届けたかったのですがちょうど大蔵卿の修羅囃子のきっかけになってしまい皆心残りで黒御簾に向かいましたが、果たして御購入と相成ったのか?。帰り道あのぴかぴかの上着を着たおじさんに東武線で出っくわしたら絶対笑っちゃったでしょうね。
今日21日は快晴。昨晩真っ白になっていた観音様の大屋根の雪も無くなりいつもの景色に戻ってしまいました。明日は皆心待ちの一回公演の日です。
1月26日
さてあと3回。来月は大阪なのでしばらく東京の味ともお別れ、ということで今日はお昼に仲間と「並木の薮」に行って参りました。冬の間はこれを食べ続けるぞ、と決めている「鴨南」にもり1枚、いやいや美味しかった。あの鴨の脂身を噛んでいるとジュワーッと旨味が口に広がり、あの瞬間というものは実に幸せ。ここでお酒を頼むとおつまみに「そば味噌」が出てきますが、帰りがけに持ち帰り用があるかどうか聞くと「ありますよ」という嬉しいお言葉。一つ買ってきました。来月はこれを舐めながらご飯を食べようという計画。もちろんお酒も頂きますよ。
夜は千駄木にある四川料理の「天外天」に行きました。
最近「ジャングルTV」や「どっちの料理ショー」などテレビに度々登場していますが、ここの御主人は「四川飯店」の陳建民さん(鉄人陳建一さんのお父さんですね)のもとで修業された方。ということで麻婆豆腐はお薦めの逸品、とても辛くて美味しいですよ。
1月27日
最後の1週間、結構みんなくたびれてきて2回公演の夜の部になるとため息ばかり。毎日指折り数えて今日浅草公会堂はやっと千穐楽になりましたが、何も荷物の多い日に雪にならなくてもいいのにね。
天気予報では昼過ぎには雨になるといっていたのに雪の勢いはとどまらず、午後になると風が出てきて横殴りの吹雪になってとにかく冷たくて寒かったです。
一昨日大阪に相変わらずの夜逃げの荷物のような宅急便を4個出しましたが、もう二つ、替えの三味線を入れたアルミのトランクと段ボール箱が一つあって今日それらを近くのコンビニに持っていく予定だったのがこの雪です。すっかりめげてしまって宅急便の集配に電話をすると1時間くらいのうちに取りに来てくれました。ひょっとするとこの雪で断られちゃうかなと思っていたのでこれは本当に助かりました。
宅急便が済んだところで、今日楽屋で先輩から「ベンちゃん、お土産」と頂いた「くさや」を焼きました。浅草の「熊野屋」さんで買ってきて下さったもので、あそこにはいつでも身の厚いよく乾いた「くさや」が置いてありますが、頂いたのも身がしっかりしていて惚れ惚れ!臭いも強烈、ガツンときてとても美味しそう。昨日は鴨南、今日は「くさや」で実にどうも極楽であります。

良い色ですなぁ
これを焼くときは換気扇全開、窓すべて開け放しでないと家じゅうに濃厚な香りが充ち満ちてしまいますが、今日は外は吹雪で窓開けると凍えちゃうので換気扇のみ。おそらく1週間は臭いが取れないでしょう。
軽く炙ってむしってお醤油をかけてしばらく置いてから瓶に詰めて、「並木のそば味噌」と一緒に大阪の荷物の中へ。大阪のご飯が楽しみです。
夜になってから雷が鳴ったり、台風みたいな風が吹いたり大荒れの1日でした。昨日鴨南を食べたのに今日は寒いから、というので鴨鍋にきりたんぽ。この2日間の食事は何だかすごく幸せでした。
しかしこんなに雪が降って明日の大阪行きは大丈夫なのでしょうか。
1月28日
慌ただしいもので今日は大阪乗り込みです。昨日の天気はどこへやらで今朝は快晴、富士山がくっきりよく見えました。松竹座で2時から稽古、思いのほかとんとん進んで7時半には終わりました。
移動してきたその日というのは結構くたびれるもので、ホテルにチェックインして大荷物を広げたらぐったりしてしまいそのまま寝てしまいました。
1月29日
11時から総ざらい。「加賀鳶」というと松緑さんの舞台がとても思い出に残っていまして、仕事でやるのは私は初めてです。木戸前やお茶の水、ゆすりの場面など黒御簾も芝居っ気たっぷり、弾いていて面白いですね。きょうも昨日と同じような感じで進み4時半に終了、久しぶりに明るいうちに楽屋を出ました。
去年後半忙しく全然通えなかったので一時退会したスポーツクラブですが、今日なんば店で一ヶ月だけ申し込んできまして夕方に早速行ってきました。
あーあ、気持ち良かった。
1月30日
今日は1回目の舞台稽古、多分遅くなるだろうなと思っていましたが11時開始の「黒塚」の舞台稽古が始まったのが午後の2時、この時点ですでに3時間遅れ。
私の最短予想では「黒塚」「浮世風呂」「一本刀」の3つで5時間、5時過ぎには「加賀鳶」にかかるか、なんて思っていたのに「一本刀」の始まったのが5時15分。
この調子で行くと「加賀鳶」が早くて8時に始まって3時間ちょいの芝居ですから舞台稽古では倍見て約6時間。日が変わった31日の午前2時頃終わって、その後の「車引」が午前2時半始まり。
「ホントかよ!」なーんて楽屋で話していたら本当にその通りになってしまいました。8時15分に「加賀鳶」が明いて終わったのが午前1時半過ぎ。唄の人はここでみんな帰ってしまい残るは三味線弾き三人。「加賀鳶」の道具をばらすのを楽屋のテレビで見ながら「一体何時にかかるのかね」「早くやろうよ」なんて言っていたら「車引」の二丁が入りまして「おっ!やる気だ」「いいぞいいぞ」
調子を合わせたりしているうちにすぐ廻りが入ったので舞台におりましたが、そこから時平が出てくる壊れる御所車の段取りをやったり仕丁のお稽古したりして始まったのは2時半を廻っていました。こちらの用事は明いて10分ほどで終わってしまいますので2時45分くらいには楽屋を出ましたが道頓堀は真っ暗だし人気が無くて何だか物騒な感じで急いでホテルに帰りました。シャワー浴びてベッドに入ったのは明け方4時、6時間後にはまた楽屋に行かなくてはならないかと思うとちょっと憂鬱。11時から初日通りの通しの舞台稽古が始まりますので寝坊しないようにしないと。
猿之助さんの芝居というと朝から晩まで稽古場に居っきり、徹夜の稽古は当たり前でよくタクシーで帰ったり始発電車で帰ったりということがありましたが、こんなに遅くまでかかったのは久しぶりです。
1月31日
うー、眠い!
何となくとろとろ寝て起きたのが9時。これでもう1回うっかり寝ちゃうと危ないので起きちゃいました。今日は幕間も初日通りに取っての通しの舞台稽古。
昼の序幕の「車引」を終わってとにかく眠くてしょうがないのでホテルに帰って昼寝。夜の部も順調に進んで8時過ぎには終わりました。
明日は初日です。
2月8日
初日が明いて1週間経過。芝居も落ち着いて私の生活パターンも決まり、規則正しい毎日を送っております。
今月は「加賀鳶」の伊勢屋が終わったところでお役御免なので時間的にも早くて気が楽ですが、夜の部が明いてここまでで2時間座りっぱなし。足は痛いし体は固まっちゃっているし何だかワーッと発散したくなりますので、終わった後はTIPNESS(スポーツジム)に行ってます。マシンをやって、プール、ジャグジー(これが極楽!)に入ってさっぱりして外に出ると外気がひんやりしてなかなか良い感じ。
去年の平成中村座の時にひと月椅子に座って弾いていたのが原因か腰痛が治らなくなりまして、今月のホテル(去年首が痛くなってテンピュール枕を買ったのもこのホテル)も柔らかいベッドなのでどうも変な痛みが続いています。今まで腰は痛めたことが無いので何だか気になっているのですが、ジムに行って体を動かして汗をかいてプールでウォーキングをやった後は筋肉や背骨が柔らかくなるのかすごく楽になります。そんなことでも今月はジム通いが日課のようになってきました。
ここ連日黒門市場をぶらぶら歩いておかず探し。あちこちのぞいて美味しいお総菜屋さんを見つけました。市場というのは見ていて飽きないもので、魚屋さんにはアンコウがドンと置いてあったり、八百屋さんには今旬の水菜が山盛りになっています。水菜ってスーパーなどで買うと細い束で袋に入っていますが、本当は白菜くらいの大きさの株なんですね。どうにかして水菜食べたいなぁ。
2月13日
昨日まで巷は連休で戎橋筋や千日前界隈はすごい人出、松竹座に行くのに一苦労でした。道頓堀などは歩いていて計がいかないので裏の細い路地を行くと、ミナミのそういう通りは風俗店だらけ。呼び込みの若い衆が寄ってきたりしてこれが実にガラが悪い。
黒門市場の中にマグロの専門店があります。テレビでも見たことがあるのですが、店先では御主人が刀みたいな長い包丁でマグロの解体をやっています。2,3日前に前を通りかかったときにちょっとのぞいたのですが、美味しそうな赤身のぶつ切りや惚れ惚れするような大トロのブロックが店先にずらっとならんでいました。そのなかに「トロ切り落とし」というのが1パック1000円で並んでいまして、これがなかなか実にどーも大変な大トロの切り身です。「多少スジがあります」と書いてありますが見ているそばからこれがポンポンよく売れるのです。その日はもう食事の仕込みをしてしまった後だったので帰りましたが、連休明けの今日、「車引」の宮神楽を弾きながら「お昼はあの大トロでご飯食べるんだ」と心に決めて、終わって楽屋を出てから黒門市場に一直線。それを買ってきてご飯を炊いて一緒に食べたのですが美味しかったです。大トロのくずみたいな部分なのでしょう。なるほど食べていてスジやら歯に引っ掛かりますが立派な大トロで、あれが1000円なら安いなぁ。
また買いに行っちゃおう。
今「ダイソー」など100円ショップが大変に流行っていますね。私も以前は「どうせつまらないものしかないんだろう」くらいにしか思っていなかったのですが、去年の暮に京都でびっくりしました。あらかた何でも置いてあるしホテルで使う日用品ならここでほとんど揃っちゃいました。楽屋でも「あそこのダイソーには○○があった」とか「100円のワイングラス買ってきた」とか情報を仕入れると「あ!行ってこよ」と出かける人あり。私も食器を入れるタッパーや来客用のお茶碗、小皿、スプーン、カレー皿、洗剤、オロシ生姜、といろんなものを買ってしまいましたが今日、スライサーと大根おろしが合体したあれは一体なんて言うんでしょうね、新しい道具を購入。早速晩ご飯で大根おろしをやりました。
トップのページにアップしましたが15日から「とろう会写真展」が銀座プランタンで始まります。皆さん遊びに来て下さいね。
今日松竹座は中日になりました。あと半分、あと半分。
2月20日
松竹座も残すところあと5日。
2月にしてはずいぶん暖かいなぁという一ヶ月でしたが、今まで絶好調だった体調が今週に入ってから急にへんてこになりました。
巷では風邪が流行っていて変な咳をしている人がいっぱいいますから「移されないようにしよ」なんて思っていたら一昨日あたりから自分が変な咳(気管支あたり?かな、深いところでゼイゼイいって呼吸が乱れるとしばらく咳が止まらなくなります)をする人になってしまい、昨日から上がりきらない不完全燃焼みたいな熱が出て薬を飲んでも悪くも良くもならないという、何だかどうも変なんですね。
もっともこのホテルもすごく乾燥していて、寝るときに部屋に下げた水の滴るびしょぬれのタオルが起きるころにはパリパリになっているくらいですから用心していたのですが、これも原因の一つかもしれません。まあこれ以上悪くならないように気をつけます。
掲示板で話題になっていた調理器具ですが、この間注目の物件を発見!。日本橋辺りで小さめの深いホットプレートは7000円くらい、電熱器は2900円くらい、ダイソーで16センチの鍋が100円、とメモしてぶらぶら黒門市場にきました。おかずを買って歩いていくと市場の中の千日前通り寄りの四つ角に金物屋さんがあります。簡単な厨房器具、鍋その他いろいろ雑貨を扱っているお店ですがその店頭に「24センチ電気鍋、煮物、揚物、何でもOK」というのが2980円で積んでありました。それこそ今まで探していた深めのホットプレートがこのお値段。「ありゃ!これいいんでない」と暫くためつすがめつ見ていたのですが、もう今月も中日も過ぎて残すところ10日くらいという時期だったので「今月は、まあいっか」と次回の旅の時に再び考えることに。どうもお騒がせしました。
黒門市場に行くと楽しみがもう一つ。堺筋に面した角にペット屋さんがありますが、ここのウインドウの中の子犬と子猫が可愛いんです。耳が垂れていて真ん丸顔のスコティッシュホールド、キャバリヤ、シーズーetc、日によって全員寝ていたりどたどた追っかけっこしていたり・・食料の入った袋を片手に帰り道、この前で立ち止まることしばし。
15日からプランタンで催されていた「とろう会写真展」ですが今日で終わりました。御来場下さった皆さま、どうもありがとうございました。
2月24日
はぁー、やっと明日は千穐楽。
19日頃から急にひどくなった風邪はようやく山を越えましたが、いまだに咽喉の奥はヒューヒューいっていて変な咳が止まりません。咳とくしゃみのせいで知らないうちに背中は筋肉痛。薬を飲んでいるのに何故か寝られないので明け方の5時頃までヤクザ映画を2本、チャンネル掛け持ちで見ていたら両方とも鶴田浩二が出ていて途中からごっちゃになって内容がさっぱりわからない。衛星放送の「千島列島の四季」とか深夜の連続自然ドキュメンタリーも見ちゃったし、何で風邪薬飲んでいるのに目が冴えてくるんだろう。まあこんな状態でこの最後の1週間は疲れました。
部屋の荷物も毎日少しずつ詰めては降ろしてあとは明日の午後、チェックアウトの時に出してお終い。しかしこうやって荷物を見ていると持ってきたのに使わないものがいっぱいありますね。
来月は歌舞伎座の序幕の「君が代松竹梅」をやって国立劇場に行きます。「松竹梅」の稽古が26日からありますのでまたぶっ続き。今年になってまだ1日も休みがありません。