11月8日
 
10月29日に北海道から帰ってきましたがさすがに疲れました。
どうにも体がはっきりしないので30日は鍼の先生に行って首やら背中やらバキバキやってもらったらスッと重荷が下りたような心持ち。夜は「とろう会写真展」の打ち合わせで銀座に行きました。今年2月の写真展の時には大阪に行っていましたから出品だけしてギャラリーは欠席、メンバーの方に会うのも実に久しぶりでした。
「とろう会写真展」来年は銀座プランタンで3月14日から1週間の予定ですので、詳細が決まりましたらアップします。

 31日、朝起きて外を眺めると実に気持ちの良いおだやかな秋晴れ。お休みだし何をしようかどこに行こうか考えていると「そういえば、まだ行っていないね」「ムフフ‥」てんで急遽「東京ディズニー・シー」に出発。
 JR舞浜駅からは新しくできたモノレールで行きますが、このモノレールが窓もつり革もミッキーの形でまぁ実に可愛いこと。

ミッキーちゃんの
つり革。
車内はこんな状態「きゃー!」って感じ
窓もこんなんで
乗る人は皆感激!

 この日は月末の平日ということもあって場内は空いていまして、お昼前に入って夜10時の閉園までの間にアトラクションやショーをほとんど制覇出来ました。
「ディズニー・シー」には「ファスト・パス」というのがあります。アトラクションの入り口でこれをあらかじめ取っておくとパス指定の時間帯に優先して入場することが出来てとても便利。
 ここのアトラクションはどれも比較的呑気ですが、ただ一つ岩山の中をぐるぐる回って最後、山の中腹から乗り物がどーんとすごい勢いで落っこちていくのがあります。
 わたくし、この手の逆落としものは苦手なので何かいやな感じでしたが、せっかく来て乗らないのは悔しいですから乗りました。6人乗りの何やらごっつい車に乗ってスタートからしばらくは呑気でしたがクライマックスに向かうときが凄まじい!
 最後に逆落としですから途中から登るんだろうなと思っていたら、その登りの勢いといったら!!「うおー!!」錐もみ状態でガーッと引っ張り上げられてふっと力が抜けたら後は真っ逆様にドーッと落ちてお終い。「スプラッシュマウンテン」やUSJの「ジュラシックパーク」と同じタイプの乗り物で経過も結果もわかっているのですが、これの最後の登りの勢いは今までにありません。ちょいとすごいですよ。
 ショーはどれも見応えがありますし、仕掛けも劇場の設備も大変なもの。さすがディズニーランドは隅々までお金がかかっていて半端なものはありません。夜の水上ショーもきれいでした。
 10時間くらいの間、よく歩きよく食べ(ここの食事は美味しいです)乗り物に乗ってはキャーキャー叫び、久しぶりに時間を気にせず思い切り遊んだなぁという1日でした。

この写真だけ見たら
海外に行ったみたいでしょ
とっても楽しい
水上ショー

 月が変わって11月1日、前日の「ディズニー・シー」の興奮がさめやらぬといった感じですが体の方はどこか疲れが残っています。この日は博多行きの準備で1日慌ただしく過ぎてしまいました。

 2日、いよいよ博多に出発。
12時50分の飛行機なのでのんびり10時前に家を出まして11時過ぎには羽田に着きましたがここでハプニング。早いけどチェックインだけ済ませちゃおうとカウンターに行って予約番号を言うと「11時50分、251便のご予約ですね」??私の予約したのはその1時間後の「ANA253」だったのでその旨言うと、もう一遍キーボードをカチャカチャ。カウンターの女性がおっしゃるには「予約センターの者が聞き違えたのかお客様のご予約は251便になっています。それで申し訳ありませんが253便は満席になっておりまして251便ではいけませんでしょうか」とのこと。
 まあ早く着くには越したことがないのでそれで行くことにしましたが、時計を見ると11時半。飛ぶまでにあと20分、乗るんならもうのんびりしていられないので急いで荷物を預けて手荷物検査に行くと、この間のテロ以来厳重になっちゃってすごく時間がかかるようになり、折から連休で人が多く長蛇の列。
 時間が迫っている旨を言うと「ジャンプ・インでお願いします」と途中に入れてもらって先に通過。搭乗口まではこれがまた遠くて「18番」て200メートルくらいあるかなぁ?大急ぎで歩いて搭乗口に10分前に着きました。のんびり空港に来ていたら危ないところでしたね。

 「小笠原騒動」は今年の4月に名古屋でやっていますからこういう長い芝居の稽古としては日数が少なく、みんな集まっての稽古は2日の附、3日の総ざらい、4日の舞台稽古と3日間だけ。役者さんたちもやっているうちに動きや立廻りなど、どんどん思い出してきて稽古はスムーズに進みます。
 こちらも様子がわかっていますのできっかけ、出入りなど迷うところはありませんが、稽古が少ないので一発で決めないといけませんから稽古中から初日までは緊張と集中の連続。まぁ失敗もなく、つつがなく初日を迎えることが出来ましてホッとしました。

 5日の初日は1回公演でしたがそれから3日間、今日まで2回公演が続きましてこれにはちょっと参りました。長い芝居を1日2回やるとどのくらいしんどいかは何となく想像が付きますが、実際にやってみたら本当に大変。これに体を慣らさないとどうにもなりませんのでこの3日間はひたすら堪え忍ぶ難行苦行の黒御簾お籠もりでした。

明日は待望の1回公演の日。どこに行こうかな。

11月16日
 
前回から1回公演1日をはさんでまた3日間、2回公演が続きました。
「小笠原騒動」って上演時間が長いし黒御簾も三幕目以外は弾きっぱなしなので、夜の部になるとくたびれちゃって時間の経つのがとても遅く感じられます。ボーっとしていてミスするのはつまらないですからこんな時こそあらためてピリッとしなきゃ、と我慢我慢の2回公演3連チャン、ああしんどかった。その後は22日まで2回公演2日ごとに1回公演1日というサイクルなので身体的、気分的にも楽です。

 先月の「木下蔭真砂白浪」今月の「小笠原騒動」など大道具の仕掛けが複雑で宙乗りのある芝居では舞台稽古の前に必ず修祓式を行います。宙乗りなら役者さんが身につける連尺、今月だと「水車小屋」を舞台にかざって道具と役者さんがお祓いをしていただくもので今月も舞台稽古の前に行われましたが、どういうわけか初日が明いてから水車の立廻りで橋之助さんに御難続き。
 水車から振り落とされて体を強打、足の怪我、立廻りで目の下を刀がかすめたり、とあまりにも危ないことが続くので、5日くらい前ですが昼の部開演前に舞台で再びお祓いがありました。水車から振り落とされた時は黒御簾から見ていても「あれっ?橋之助さんどうしちゃったんだろう」というくらい急に顔色が悪くなって辛そうにしていらっしゃったので幕が閉まるまで気が気ではありませんでした。千秋楽まで事故の無いように願うばかりです。

 今月は終演が遅いので自炊は面倒くさいな、と思っていたのが初日以来、電気釜に先月買った電気鍋の稼働率100パーセント。連日ホテルに帰ってからやっています。炒め物は煙がでますからどうしても鍋ものばかりとなりますが、毎日具を替えスープを替え実にバラエティにとんだものとなってきました。
 ご当地ものの「博多風水炊きスープ」「モツ鍋スープ」「こってりちゃんこ・みそ味」などなど探すといろんなものがあります。先月京都で「タッカルビ」のタレというのを見かけたのですが、こっちではまだ発見できず。あれはにおいが強烈ですからホテルでやったら臭いがとれなくなりそう。ちょっと無理かな。
 ご飯のお気に入りは玄米と麦で、最近は100%麦飯がお気に入り。お茶碗の中でバラバラして食べにくいですが食感がモチッとしていて面白いです。玄米は我が家の定番でありますが、びっくりするくらいおなかの調子が良くなりますので是非お試しを。
こっちに来てから玄米と麦ばっかりで「銀しゃり」ってしばらくお目にかかっていないような口にしていないような‥

 博多はずっと暖かで、昼間は上着がいらないような日が続いていましたが、昨日あたりから急に寒くなりました。今までのちょっと冷えるなというのではなく本格的に冬の風、表を歩いていて息が凍るんですね。フリース着ていてやっとちょうど良くなってきました。

昨日15日は中日、折り返し地点通過となりました。あと10日だぁ。

11月17日
 
朝ホテルを出て橋を渡るとスーパーブランドシティとホテルオークラの間にテントがいっぱい立っていまして、何だろうと思ったら骨董市でした。道具は大好きですから楽屋に入る前にすっかり引っかかってしまいまして、しばらくぶらぶらしていましたところある店先に三味線を発見。結構古いもので紫檀棹に象牙の糸巻き、胴は平胴ですがどの面も一応輪が出ています。棹も胴も痩せていますが稽古三味線になら十分使えるなぁ、と試しに値段を聞いてみると
何と!「5000円」
「買った!」てんで、今日は朝一番から三味線買っちゃいました。
天神(糸巻きのある部分)ががたついていたり皮も裂けていますからいろいろ直して弾ける状態にするのに30000円くらいかかりますが、今稽古三味線買うと6万とか8万しますからずいぶん安い買い物です。三味線の入った長袋ぶら下げて楽屋に行くと

「何買ったの?」
「三味線。紫檀棹で象牙の糸巻き付き。どうだ」
「えー!いくら?」
「皆の衆、何と聞いて驚くな。5000円」
「5000円!へぇー!!」
「10000円で買わねえかい?」

と開演前しばらく大騒ぎ。
 今日は楽屋で空いた時間はこの三味線をばらして磨いていました。
裂けた皮から胴の中を見ると今までに皮を張った三味線屋のおぼえの紙(お客さんの名前と日付が書いてあります)がいくつか貼ってあります。それによると昭和63年に下関の三味線屋で張ったのが最後、そのころまでは使われていたんですね。その下にももう1枚古いのが張ってあり、上のをめくって見てみると「玉菊様」と書いてあります。
「玉菊」さんなんてずいぶん粋な名前ですが、その昔この三味線は花魁か芸者さん、そういう色っぽい筋の方の持ち物だったのかしら、なーんてしばらく考えちゃいました。

11月25日
 
博多座の「小笠原騒動」明日は千秋楽。今月の仕事はかなりしんどかったですが、まあ20日くらいまでは「あぁ、くたびれた」程度だったのが、残り1週間は何だかガクッと疲れまして、喉もちりちり痛かったりで油断ならない感じでした。朝もすっきり起きられなくなったし、本当にくたびれたなぁ。

 息切れ状態で毎日こなしてきましたが、何となくその疲れを忘れて楽屋で熱中していたのがこの間買った5000円の三味線の修復です。
買ってきたときには埃だらけで木の脂っ気が飛んで棹も胴も表面がガサガサ。棹の勘減り(三味線は使っているうちに勘所が減って棹がでこぼこになってきます)もひどいし、天神が欠けていて見てくれが悪いので仕事の空き時間に紙ヤスリでがりがりやりはじめまして、3,4日経った頃には見違えるようにきれいになりました。
 棹の勘減りはアロンアルファを流して、乾いたところを削って滑らかにします。糸巻きの金物も緑青でぼこぼこだったのを削ってピカールで磨くと今まで見たことのない蓮の花形?の金物が出てきました。撥を直すのに紙ヤスリに砥石、研磨剤はありとあらゆるものを持っていますので、磨けるところは棹から胴から金物まで全部ピカピカにしました。胴の修理と皮を張るのは三味線屋さんにやってもらわないとなりませんので自分でやるのはここまで。
 5000円の三味線制作キットを買ったような感じでなかなか充実した時間つぶしができました。はたしてどんな音が出るのでしょうね?

 今月は自分でも感心するくらい自炊の日が続きました。初めて外食したのは何と19日で、この日はフグのフルコースに関鯖、イカなどご馳走になったのですが、実に!誠に!美味しかったです。

 「一風堂」のラーメンも美味しかったなぁ。
最近歌舞伎座の楽屋口の並びにお店が出来てしゅっちゅう食べに行けるようになったのは嬉しい限りですが、せっかく博多に居るのだからと「一風堂大名本店」に行ってきました。10月にリニューアルオープンしたそうで、只今は「一風堂かさね味」「醤油ラーメン」と二つのメニューしかありませんが、何とこれは本店でしか食べられない限定メニューなのです。
 結局二日続けて通って両方とも食べちゃったんですけど、トンコツの「かさね味」は「赤丸」「白丸」とはまた違う新しいもので、実に何とも深い味です。「醤油」はオーソドックスですがこれまた何やら?美味いぞ!というもので、両方ともスープ飲み干し。
この、んー?くせになる味はいったい何なんでしょうね?
さすが「一風堂」、もう1度「かさね味」食べたーい、また行きたーい。
 いささか季節はずれではありますが、今年の隅田川の花火の写真をアップしました。来年の「とろう会写真展」にはこの中から出展しようと思っています。写真展の時は半切に伸ばしますのでもっときれいになると思います。見に来てくださいね。


12月18日

 あーあ、すっかり間があいちゃいました。

 11月26日に博多から帰って翌日から12月の歌舞伎座の稽古。私の仕事は夜の部の「吃又」と「妹背」の御殿です。今年はとにかく通し狂言ばかりで「普通」のお芝居やっていませんから、こういう時代物の黒御簾ってすごーく久しぶりで新鮮です。
 時代物の黒御簾というのは幕明き弾いたら次のきっかけまで20分とか、きっかけが5分おきに幕切れ近くまでだらだら続くとか仕事としては楽なのですが楽屋と黒御簾の往復が頻繁で、楽屋ではきっかけを気にしていないといけないし何だかまどろっこしいのですね。
特に今年は黒御簾の忙しい芝居ばかり続きましたので今月は何だか拍子抜けした感じ。

 12月1日は落語家、桂む雀さんと三味線の今藤佐敏郎さんの二人会「落語と長唄の会・雀のさと」で大阪は難波、ワッハ上方演芸ホールに行って参りました。
 「雀のさと」はお二人のトークに落語に長唄、ジョイントでの「長唄落語」など新しい試みにあふれた楽しい会。佐敏郎さんは大阪や京都の芝居の時に度々ご一緒していまして、この日は二挺一枚でお囃子無しの素!の「二人椀久」を一緒に弾かせていただきました。10月の南座の時に手を合わせたり何回かお稽古しましたが、そのあと丸一ヶ月空いていますからねぇ。当日舞台稽古がありますがその1回で果たして大丈夫かしら?‥いろいろ考えても仕方ないので本番は思いっきり弾いちゃいました。
 この日は日帰りでしたので終わって一足先に失礼しました。博多から帰ってきてすぐ芝居の稽古が始まり疲れが取れぬまま体調がはっきりしなかったのですが、この演奏があるのでこの日までは気が張っていたのですね。終わっていっぺんに気が抜けてしまったようで、昼間から風邪っぽくて嫌だな感じていたのが帰りの新幹線で扁桃腺は腫れる、熱は出るで本格的な風邪っぴきになってしまいました。
 2日からは歌舞伎座に行っていますが、この風邪がなかなか治らなくて2週間くらい喉が痛かったり咳が止まらなかったりひどい状態でした。そんなわけで更新も全然出来なかったのですが、昨日あたりになってやっと治ったかなと言う感じで、はぁ〜長い風邪だった。

 先日発売になった週刊「PCサクセス」96号の「インターネットワールド体験・歌舞伎の世界を探訪」「BEN'S CORNER」が掲載されました。「歌舞伎 on the web」と玉三郎さんの公式HPと並んで出ているのですが、私の名前の字が間違っていて「杵屋」の「杵」が「桝」になっています。まったくどうしてわざわざ難しく間違えるんですかね。

17日から19日まで羽子板市。浅草は賑やかですよ。

12月25日
 
今日、歌舞伎座は千穐楽。今月は何だか淡々と日が過ぎて、やっぱり仕事が暇だと時間の経つのが早く感じられますね。
いっぺん治ったかなと思った風邪ですがその後も咳が止まらなかったりはっきりしないまま。薬を飲んでも劇的にスカッと治らないしどうも扁桃腺が根本的に治っていないような感じがします。そこに来て今日は楽屋に入った頃から頭痛がひどくなり、楽と言うことで気が抜けたのか、またぶり返してしまったようです。いつまでも抜けなくて、あーしんどい。

 お正月の私の仕事は歌舞伎座の昼の部、「鞘当」「連獅子」です。「鞘当」は7年くらい前の岩田屋の巡業でやって以来です。これは幕が明いて置の唄浄瑠璃を2挺2枚で姿は紋付き着流し、頭には頭巾か手ぬぐいを乗っけます。唄は立って、三味線は床几に座って上手か下手か?どちらかで演奏します。演奏は主役二人が舞台に登場するところまでで、「風情なりける次第なり」で終わると、お辞儀をして引っ込みますので舞台にいるのは10分くらい。入ったあとすぐ黒御簾に入りカゲの用事が幕切れまであります。全部で20分くらいの短い舞台ですが舞台は吉原、華やかでお正月の幕開きには良いですね。

 去年の今頃は「元旦九十九里海岸」で憂鬱になっていたんですが、あれからもう1年、早いなあ。年内の稽古は29日で終わりますから今年はお正月の支度もゆっくり出来るし並木にお蕎麦も食べに行けるし、のんびりと年を越せそうです。

12月31日
 
29日は舞台稽古でした。それも「連獅子」「鞘当」と11時からバンバーンと続いてやったので1時には自分の用事は済んでしまい本当に珍しく早い時間に解放され、これで年内の予定はすべて終了となりました。

 思い返してみるに今年は今までになく忙しい年でありました。旅も多かったし通し狂言が年間7ヶ月なんていうのも初めての経験でしたが、こういう芝居は稽古も長時間になりますし本番でも弾きっぱなしで忙しいのが当たり前です。そんなところに一場でも舞台をしたり大薩摩があったり、合方を考える「附」の作業など責任のある仕事が多かったので、そんな時の一ヶ月間は大変ですが、やりがいのある気の張った面白い1年だったなぁと思います。

 昨年は九十九里に出かけたので行けなかった年越しそば。
今日は午後から買い物に出かけ日の落ちた頃、並木の藪に行きました。通り道ですから普段でもふらっと寄れそうなものですが、ここでお蕎麦食べるのは何と今年のお正月以来なのです。お酒一本もらって私は鴨南にもり1枚、家内は天そば。
 朝から大掃除で体がクタッと来ているところにキュッといったお酒はじわじわと細胞にしみわたり「腹ん中、酒が車引いている」状態になりました。あー幸せ。

皆様、どうぞ良いお年を。