5月1日
昨日三味線が裂けて、替えの楽器を宅急便で送るのもどうも心配だしどうするかねぇと家内と話していたら「そんなら私が持って行くよ」ということになり急きょ家内が大阪へ。
私の定宿ホテルが満室だったので家内がインターネットで空いているホテルを探して宿を確保。インターネットって便利だなあ。
今日は総ざらいで道具調べと並行しながら進行。この芝居、大詰に舞台で雨が降るそうでまた道具が大変。染五郎さんが三役早変わりですから他の場面でも仕掛けがたくさんあってで舞台稽古はたっぷりと時間がかかりそうです。
夕方に稽古が終わってぶらぶら歩いていると、なんばグランド花月の1階に「春川タッカルビ」というお店を発見。タッカルビというのは鳥肉と野菜の韓国鉄鍋料理で美味しそうなので入ってみました。30センチくらいの鉄鍋に鳥肉、魚介、野菜をどどっと入れて炒めるのですが、この味というのがキムチのたれにカレー粉が入っていて焼けてくると香ばしくていい香り。辛さもなかなかのもので美味しかったです。最後に味の染みついたこの鍋で作るチャーハンがオコゲの様になってまた美味しいです。是非お試しを。
5月2日
1回目の舞台稽古です。今日は念入りに時間をかけてお昼に始まって終わったのは夜8時半。通して見てこの「怪談敷島譚」テンポが良くて舞台も一場一場変化があってとても面白いです。染五郎さんの早変わりもなかなか見事。
大詰に降る雨ですが黒御簾の前1メートルくらいまで濡れるので急きょ黒御簾の内側にビニールを張りました。これで湿気は安心ですが目の前を塞がれたので黒御簾の中の暑いこと。ビニールハウスの中みたいです。
朝から舞台稽古を見ていた家内は夕方東京に帰りましたが、平日なので新幹線ガラガラだったそうです。
5月3日
昨日1回目の舞台稽古が終わって何だか気が緩んだのか朝起きたら扁桃腺が腫れていて少し熱っぽい。ここに来て溜まっていた疲れがどんと出たみたいです。
今日は初日通り通しの舞台稽古。幕間を本番通りにとっての舞台稽古です。2時に始まって6時には終わりましたが、抗生物質をずっと飲んでいたのでラリッたみたいな状態で熱も上がって起きていられなくてホテルに帰ってすぐ寝てしまいました。
今日は終わったらスポーツクラブの申し込みに行って、プールに入っちゃう予定だったのにこの扁桃腺で出ばなをくじかれてしまいました。あーあ残念。
5月4日
昨日薬のせいで眠くて早くから寝ていたので今朝は6時半に目が覚めちゃいました。熱は下がったようですが咽喉の痛さは強烈でまだまだという感じ。起きちゃったので溜まっていたメールのお返事を打ったり、すっかり滞っている日記を書いたりして久しぶりにキーボードに触りました。
今日初日が明きましたが3階まで満員のお客さんでとても賑やかでした。こういう仕掛けの多い道具の複雑な芝居の初日というのはすごく緊張しますが何のトラブルもなく終わりましてこれでやっと一段落、落ち着けそうです。
連休まっただ中でミナミはすごい人出で歩くのが大変。
5月13日
町中大騒ぎの連休が終わってようやくそこら辺を普通に歩くことが出来るようになりました。
どうも今月は体調がパッとしなくて、へんてこになった扁桃腺はお医者さんに2軒通ってやっと直りました。1軒目は内科で、注射を打ってもらい抗生物質をもらって飲んだら咽喉の痛いのはすっと直ったのですが今度は咳が止まらない。舞台に行っている最中にも気管支のあたりが急にひくひくしてきて一旦咳き込むと三味線弾いていられないくらいにひどくなってきて次は耳鼻科に行きました。
耳鼻科なんてすごく久しぶりに行ったのですが、ここではファイバースコープを使って咽喉の奥を見てしまうのにはびっくり!。
横にモニターがあって「はいここね、扁桃腺の表面に白いぽつぽつ、これは化膿しているのね」「気管支の入り口はちょっと赤くなっているね」とか説明してもらってまた別の抗生物質とせき止めをもらってきました。この抗生物質「ジスロマック」というのですがよく効きます。よく効きますが副作用かな?お腹がへんてこになりました。
せき止めもさすがにお医者さんのはよく効きますが、これすごく眠くなるんです。楽屋入りの前に食事してこのせき止め飲んだら昼の部が始まって2時間くらい経ったころ効いてきて舞台で何が何だかわからなくなるくらい眠くなるのには参りました。
10日、なんばに「ビックカメラ」オープン。千日前の元のプランタンのビルがそっくり1階から7階まで「ビックカメラ」になりまして、フロアーは広いしパソコン売り場も充実しています。日本橋まで行かなくてもここで何でも揃ってしまいそう。特にマック売り場にはガラスケースの中に「歴代の名機」が展示してあったり、パワーブック関係の周辺機器もマニアックな品ぞろえ。いい時間つぶしの場所ができました。
ホテルの部屋の乾燥が咽喉の痛いのに拍車をかけ寝ているときにかなり辛かったので加湿器でも買おうかなぁと思っていたところにこの「ビックカメラ」オープン。探しに行ったらオープン記念で2980円!目玉商品で売られていました。まあもっともこれからは「除湿器」の季節ですから、在庫一掃という感じで山積みになっていた「加湿器」丁度いい買い物が出来ました。
さっそく使ってみましたが「へー!こんなに違うの」というくらい鼻や咽喉が楽になりました。今のホテル、洗濯物はよく乾いていいのですがこの乾燥の仕方は体には良くないですね。
今月の「怪談敷島譚」連日良く入っていまして、観た方の感想もなかなか好評。
特に大詰には本水の雨の中での立廻りがありまして結構たっぷりと天井から雨が降ってきますが、今日その雨が降りませんでした。
いつもは立廻りの前になると「ごーっ」とパイプに水の通る音がして見得と同時にザーッと降ってくるのですが、「ごーっ」と音はしたのにポツリとも来ません。
立廻りが始まって「あれ?降ってこないね」
はじめは少し遅れたのかなと思いましたがいつまでたっても降ってきません。
「どうしちゃったんだろう」
舞台の裏でもスタッフさんが異常に気づいたころ頃、黒御簾内で異変「ん?!何だか水が落ちて来るよ」
何と黒御簾の天井から水が漏ってきましてスピーカーや太鼓を濡らして床几の端に座っていた人の胴掛けにも水滴が!
合方を弾いているところなので手を休めることも出来ませんし、天井ではパイプがゴウゴウいっていますし破裂して水浸しになったらどうしようかと弾いていて気が気ではありませんでしたが、結局舞台に水は一滴も降らぬまま立廻りは終了。
何か水廻りの機械のアクシデントと思いますが、いやいやびっくりしました。
5月17日
14日は1回公演だったのでかねてより計画していた「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」に行ってきました。芝居のはねるのは2時45分、閉園は8時、行きは時間を稼ぐのに御堂筋からタクシーに乗って高速道路を一直線。10分ちょっとで「ユニバーサルスタジオ出口」を出ましたがここから入り口までが大変。ぐるっと一回りして「ユニバーサルスタジオ駅」を左折してようやく正面入口に到着。
3時15分 「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」 入場
ローソンで買った予約券をチケットブースでスタジオパスに交換。平日は結構空いているということでしたが、今日はあいにく少し混んでいますとのこと。とにかく時間は4時間半くらいしかありませんので有名なアトラクションで乗れるもの、見られるものはこなしてしまえとまずは「ターミネーター2・3D」へ。
4時10分 「ターミネーター2・3D」
ここでもディズニーランドと同じように待つ間に歩く通路はたっぷりとあってかなり奥の方までぐるぐる歩かされます。
待つこと50分、ようやく入れましたが中はすごく広いホール。
特製サングラスをかけて映像を見ますがこれがなかなかな迫力で、目と鼻の先にぬっと映像が飛びだしてきます。身体中揺さぶられるようなものすごいサウンド、レーザーが飛んだりホール中見えなくなるくらいのスモークが噴射されたり、椅子がガタッと動いたりこれはとても楽しめます。特にその映像が本物の映画並の手間がかかっていて豪華でこの映像だけでも得した気分。シュワちゃんにリンダ・ハミルトンが登場していますが、よく似ているけど本人かな?。
中の町並みは実に良く出来ていてアメリカアメリカしています。どこに行こうか歩くうちに待ち時間の掲示板発見。有名なアトラクションはどれも1時間から1時間半待ちでずーっと見ていくとひとつ、スヌーピースタジオで15分待ちというのがあります。
4時45分 「スヌーピー・サウンド・ステージ・アドベンチャー」
行ってみると何だかやたら可愛い建物でスヌーピーとそのお仲間キャラだらけ。大きな着ぐるみのスヌーピーは一緒に写真を撮ろうという女の子達に囲まれて大変。建物の中にはこじんまりとしたジェットコースターがあってこれが待ち時間15分。ちんまりしていますが頭上をゴウゴウいいながら走るのは結構迫力があります。
このジェットコースター規模が小さいため回転の半径が小さく細かに曲がりますから、のべつ体が揺さぶられている感じで体にかかるGはかなりなもの。ちょっとびびりながら乗っていた時間はたった18秒、降りたら足がふらふらしていました。
5時40分 「ジョーズ」
「スヌーピー」の隣には「アミティ・ビレッジ」、ここは入り口にあの有名な大きな鮫がぶら下がっている「ジョーズ」です。待ち時間60分で「ここは水で濡れるアトラクションなのでポンチョをご利用下さい」とのことでビニールのポンチョを購入。前々から噂で聞いていましたが、ここは結構水浸しになるアトラクションが多いそうで出てくる人を見ると頭や洋服がびっしょりです。ぐるぐる通路を歩いて約1時間、やっと順番がまわってきました。ポンチョをかぶってボートに乗り込むと椅子も足元もびしょびしょ、だいぶ派手に水が来るようです。
スタートしたあとはもういろんなことが起こります。ぶわーっと大きな波が来て大きな背びれが出てきたり水面に火が広がったり、そして最後はあの大きな口が目の前に出てきて、まあ予想はしていましたがやっぱり「むむむ!」ちょっと引いてしまいました。
さて残すところあと2時間。
6時50分 「バックドラフト」
これは消防士の映画の「バックドラフト」のセットを見学というもので目の前でボンボン火が燃える、と言うことは知っていたのですが始まったらそんな呑気なものではありませんでした。
まず熱いし目の前でドラム缶が爆発してしぶきが飛んでくる、セットが急に崩れる・・いろいろなことが起こり迫力があります。あれだけ目の前で火が燃えるとちょっとおっかないですね。いやーそれにしても熱かった。
7時30分 「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」
「襲いくるTレックスから逃れる道はただ一つ、25.9メートルの高さから、暗闇の中へ真っ逆さまに飛び込むだけ」
(パンフレットより)
これはここの目玉ですね。ディズニーランドの「スプラッシュマウンテン」の様なもので最後はすごいしぶきをあげてボートが落っこちてきて、何とその落差25.9メートル!。
私はどうもこの「逆落としもの」が苦手で「スプラッシュマウンテン」も嫌いです。相成るべくはこれはご遠慮したいなぁと思っていましたが、仲間に「これに乗んなきゃUSJに来た甲斐がないでしょ」と引っ張っていかれてしまいました。さっきは90分待ちでしたが閉園が近くなるとどれも30分から45分待ちと乗りやすくなります。
これは最後の逆落としですごい水をかぶるのでポンチョは必須。
さていよいよ乗る番が近づき人数を言うと「どうぞ1番へ」1番というのはボートの最前列!まったく苦手だというのによりによって1番前。仲間2名は「なかなか最前列なんてのは乗れないね」と大喜び。ボートの中はびしょびしょで椅子も水浸し。ポンチョをお尻の方までちゃんと引いて座り、バーがおりるといよいよスタート。
初めのうちは恐竜が出てきたり実に呑気に進んでいきますが中ほどで最後の逆落としのために急勾配を上っていきます。「スプラッシュマウンテン」だとこの後、軽くストンと落ちておどかす「小当たり」が来ますので警戒していましたがそれはなし。ぐるぐる回るうちにいきなり目の前にTレックスがガオーッと現れ「あ、これがパンフに書いてあったTレックス、ということはやばい!」と思ったら目の前の水路が急に無くなり真っ暗な中をすごい勢いで落下。
ひょっとしてこれが「小当たり」かな?こんな落差が「小当たり」だったら最後のはどんなことになっちゃうの?
身体中に力が入り「ひえー」
すごい風圧と細かいしぶきが顔に当たり「バッシャーン」平らなところに着いてからもボートの勢いは止まらずブワーッとシャワーを浴びたようになってエンディング。これポンチョ着ていなかったら本当にびしょびしょになっちゃいます。もっといろいろびっくりさせられるのかと思いましたが結構あっけなくクライマックスがやってきますので正直なところ「あれっ?これでお終い」と言う感じでした
ここを終わって7時50分。まだ何かいけるかなと思って「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に行くとさすがにもう閉園10分前、乗り物はクローズになっていましてこれでお終い。ショップはお土産を買う人の最後の追い込みでレジには長蛇の列。20分30分はかかりそうで、お土産はちょくちょく合間に買っておいたほうがいいみたいです。夜になってネオンに灯が入るととても綺麗で、本当に外国にいるみたい。
「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」初お目見え、4時間半で5つのアトラクションをやっつけましたので、初会にしてはなかなか充実していて良かったんでないのという仲間との感想でした。いつか裏を返して次は完全制覇を目指そう。
5月22日
松竹座も楽まであと1週間を切りましたが、私は27日の里長師の会をはじめ月末に他にも仕事がありまして一足先に23日でお役御免となります。
昨日あたりから荷物の撤収にかかりましたが、寒い季節と違って着るものが少なく荷物は少ないはずなのに何だかまた増えています。加湿器買っちゃったし、ボテに入れてあった稽古三味線一梃に裂けた三味線の棹がはいっている鞄が一つ。
「テンピュール枕」も持ってきていたのに今月は使わずじまい。ちょうど1年前の5月松竹座の時に首がおかしくなって買ったのですが、今月は去年とまったく同じ部屋にいて(ホテルメトロの927)去年は首の痛くなったホテルのふかふか枕が快適でよく寝られているのですからわからないものですね。
今朝までにフロントに段ボール箱4個降ろしたのに部屋にはまだ大小トランクが3つ・・いやまだあった。楽屋にも明日使ったものを放り込んで着払いで家に送る箱があったのでした。
明日の晩か明後日の午前中には
「ピンポーン」
「はーい」
「山野井さん、宅急便です。全部で8個ですね」
この荷物がまた玄関に積み重なるのを想像すると、あーあ憂鬱。
5月31日
23日の松竹座夜の部を終えて最終一本前ののぞみで東京に帰ってきました。
24日は里長師の会の下ざらい。
25日はずっと用事が入っていなくてこの分だと今年2日目のお休みになるかと思ったら、夜10時からのコクーンの稽古に顔を出すことになりまして、終わったのは日にちが変わって1時半を過ぎていました。
26日は横浜は二俣川で邦楽の催し。「越後獅子」と「勧進帳」の演奏がありました。午後からの仕事でしたが前の日が遅かったので何だかぼーっとしていてしんどかったです。
27日は「第5回 鳥羽屋里長の会」
朝から強い雨であいにくのお天気のなか客席は大勢のお客様で大盛況。湿気があったので舞台の上はかなり暑く「黒御簾演奏」の時には汗が止まりませんでしたが、「茨木」では照明の違いか?山台に乗ると暑さが感じられず助かりました。会の最後を飾るにふさわしく本番の演奏では皆気合いが入ってとても迫力がありました。今回は演奏用に音若の件、綱の物語、間狂言を省略しましたがそれでも46分、大曲ですね。今日が終わってやっと譜面をしまうことが出来ます。
28日は「三越名人会」でテーマは「夏祭り江戸のにぎわい」
山川静夫さんのトーク「祭囃子の楽しさ」というコーナーで、祭に関係した芝居「め組」「魚屋宗五郎」の有名な場面の黒御簾音楽を演奏しました。山川さんはお話で興が乗ると脱線することがよくあってどんな話に展開するか、何を弾くことになるかわからないよと聞いていましたのでちょっとヒヤヒヤしましたが打ちあわせ通りに進んで15分ほどで出番は終わり。他には清元の演奏「お祭り」、勘太郎、七之助ご兄弟の「三社祭」、三遊亭小遊三さんの落語「百川」がありました。
この日からコクーンの稽古が本格的に始まりまして終わってから渋谷へ。連日昼から夜9時くらいまでオーチャードホールのリハーサル室で稽古。31日からシアターコクーンに移り、今日は舞台で実際に動いて居所調べ。
私は今日初めて舞台装置を見ましたが、これはお客さんがこの空間に足を踏み入れたらドキドキしちゃいますよ。
ここで詳しく述べるのはやめにして、皆さま見てのお楽しみ!
初日が明くまでまだ暫く過酷な毎日が続きます。
6月26日
どうもすっかり間が空いてしまいまして失礼しました。
こんなに更新をしなかったのは初めてのことです。コクーンですから毎日出来事ははいくらでもあり何か書こうかなとは思うのですが、今月は二幕、大詰(夜の部)と舞台をさせていただいていまして(黒御簾の責任者)、特に二幕目は進むに連れて芝居がピリピリしてきますので弾いている私も息が詰まりっぱなし。1日無事に終わるとガックリ疲れて家に帰るともう何もする気が起こらないという感じでした。
6月5日に初日が明いた「コクーン歌舞伎・三人吉三」、連日客席は沸きに沸いて残すところあと2日。やっとここまで来たなぁという感じです。初日が明いてからは毎日規則正しく渋谷往復をしていますが、初日が明くまでというのは本当に大変でした。
コクーン歌舞伎ですから稽古が大変なのは今までの経験でわかっていますが、今回は特に「附」をしていらっしゃった栄津三郎さんが稽古途中で博多座に行ってしまってからはその「附」を考えなくてはならないところもありまして一番ハードだったような感じがしました。「何か合方聞かせてくれない」と急に言われて、合方をいろいろ思い出しながら役者さんの前で三味線を弾くというのは実に緊張するものですが「あ、それいいね」と言われたときにはホッとします。
コクーンに移ってからの稽古はすべて舞台で行い、私たちは下手の袖の客席で舞台を見ながら音を入れていました。今回の舞台、舞台全体奥まで黒く塗られた長屋というか民家の壁のようになっていましてあちこちに窓や戸がついています。
コクーンでは黒御簾の位置は変則的で、「三五大切」の時は上手でしたし今回はどうなるのかと思ったら下手の客席よりの大道具の引き戸の中でした。格子には紗が張ってあって舞台も見やすいし今度はやりやすそうだね、と舞台稽古になり黒御簾で弾き始めたら音が全然抜けなくてかなり強く弾かないと全然聞こえないとのこと。
座っている椅子はごく普通のパイプ椅子なのですが三味線の胴の位置が格子よりだいぶ低いので音が直接抜けないのです。平台を入れて椅子を高くするか、とか対策を考えていたら、横にいた舞監さんが操作盤で使っている背の高い回転椅子を出してくれましてそれに座って弾いたら音の通りは格段に良くなって、この椅子をひと月使わせていただくことにしました。
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黒御簾 表側
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黒御簾 内側
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照明の暗い場面が続くのでライトは不可欠。普段黒御簾のライトというと電池を使う小さい懐中電灯の様なものを使っていますが、このような芝居では明かりが無くなるとどうしようもないのでハンズでコンセントにさして使うライトを買ってきました。
実際に点けてみると客席から明かりが丸見えなのでワット数の小さい電球を買いに行ったり、格子に黒布を張ってもらったり戸の隙間に布を垂らしたり考えられることなんでもやってみました。
序幕から二幕目への転換
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1. 序幕の回り舞台
中央の橋を取り外します
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2. すべて外した状態
盆のまわりをモップで拭く人、水の中のごみを掬う人、大道具さんは大忙し |
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3. パズルのようにいくつかに
分割した台を置いていきます。これがまあぴったりまっていくのです。
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4. 次から次へと運んでは |
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5. 置いていきます
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6. もう少しで出来上がり
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序幕、二幕とこの黒御簾で弾いていますが大詰になると舞台上のものをすべて取っ払ってしまいます。それまで舞台上に敷いてある黒い地がすり、これはマジックテープで留められていて道具を取っ払ったあとパリパリ剥がしていきますと下から白い地がすり(雪布)が現れ、あの広い舞台一面真っ白となります。
ここでは道具は白い柵と火の見櫓だけで他は何も舞台に置きませんので、私たちは下手の操作盤の横、それまで黒御簾があったあたりに椅子を置いて「オープン黒御簾」。
この「オープン黒御簾」最前列から三列目くらいまでの上手、中央付近のお客さんからは丸見えです。

「オープン黒御簾」 向かって右は杵屋邦寿さん
最後の立廻りで早間の太鼓と合方で捕手との激しい立ち廻りがありまして、捕手が次第に舞台から消え、和尚、お坊、お嬢の三人だけになります。三人が舞台を走り回り大量の雪が落ち紙吹雪が舞い上がる中で虚空に刀を振り回し目に見えぬ幻の捕手と立廻りとなりますが、音の方もそこで早間の合方からゆっくりとした「雪の合方」に替わります。
この幻の立廻りの終わりで雪の合方を消すタイミングのことで、稽古の時に勘九郎さんに伺うと「そっちを見るからそこで合方を消して」とのこと。つまりいいところになったら目で知らせてくださるということでいざ舞台稽古になりました。
とにかく大詰ではそれまでの立廻りで勘九郎さんもカッカしてどこか吹っ飛んだみたいな状態ですから大きな目を剥いて恐い顔!で舞台を動き回っています。
こっちも勘九郎さんから目を離さず、弾きながらずっと動きを追っていくと通りすがりに一度目が合い(ん!これか?)もう少し弾くと今度ははっきり目で合図が確認できました。
この合図の目線が「そっちを見るから」という優しいものではなく、ぶっ飛んじゃっている和尚の目でギョロッと睨まれるのです。
とにかくおっかない目なので初めは果たしてこれで良いのやら、こっちがきっかけを見落として怒っているのかな?という状態でしたが、2,3日やっていると私自身も冷静に見られるようになり勘九郎さんの動きとその場の雰囲気で「これだ」と確信できるようになりました。初めの頃は結構はっきりした目の合図でしたが、最近はちらっとこちらと目が合うくらいなので絶対目が離せません。

最後のドカ雪が落ちてきた瞬間
最後三人で腹を切ると上からすごい量の雪が降ってきます。
この雪が落ちてからブワーッと舞い上がり客席にもずいぶん舞っていますが、これは袖で弾いている私たちも直撃で、この時の埃には参りました。舞台横の強いスポットの光の線を見ると埃の粒子がキラキラしていてその濃度は大変なもの。目はゴロゴロしてくるし咳き込んじゃうし楽屋に帰ってきてからは「うがい」と「洗眼」に「洗顔」。頭には雪がいっぱい乗っているし襟の中にも詰まっていて着物を脱ぐと楽屋の畳の上は紙吹雪だらけになります。
今日はこの辺で。

千穐楽の客席
コクーンが千穐楽になりました。コクーンの楽の日というのは何か特別で役者さんもハイテンション。客席も凄まじい盛り上がり方で幕切れの拍手は暫く鳴りやまず、すごい雰囲気でした。
夜の部のカーテンコールでは皆さんのご挨拶がありまして私たちも舞台に出させていただきました。上の写真はその時に撮ったものです。千穐楽の舞台をご覧になった方にはバレちゃっているかもしれませんが舞台上で三味線を片手にもって写真を撮っていたのが私です。
片づけをして劇場を出たのは10時半。家に帰って最後の宅急便をコンビニに出しにいったり支度をして寝たのは夜中の3時過ぎ。
明日は大阪行きです。