12月21日
最近、今まで録りためた長唄や落語のテープやMDの「デジタル化と圧縮」をやっていまして、この作業始めるとこれだけでかなりCPUのパワーと時間を使いますので他の事は何も出来ず。少しずつ書きためてはいるのですがホームページの方はすっかりお留守になってしまいまして更新サボっているうちに今年も残すところあと10日というところまで来てしまいました。
このままやっているとボーっと年を越しちゃいそうなので、10月末に東京に帰ってきてからの事をザーッとまいります。
blogにちょっと書きましたが10月松竹座千穐楽の帰り道に連絡がありまして、11月の仕事が急遽巡業から歌舞伎座に変更になりました。
まぁ正直なところ「勧進帳」一日二回の巡業は日程もきつく、かなり体力的に大変な事が予想されていましたので東京になって内心ホッとしたところもあるのですが、東京に残ったら残ったで仁左衛門さんの「河内山」の舞台をしなければならないとの事でこちらも責任重大。どっちに行っても大変な仕事の11月となりました。
松竹座から帰ってきた翌日、10月27日はNHKでラジオ放送の収録。
何度やってもこの放送の録音というのはスタジオにはいると何かこう圧迫感がありまして緊張します。
今回は「橋弁慶」と「立廻り合方集」なんですが「橋弁慶」はつい前日まで松竹座で弾いていましたから、ちょっとイヤでしたね。何故かというと松竹座では舞踊用に元の曲をいろいろ継ぎはぎしていまして、素の演奏の時とはかなり違ったものになっています。その状態で一ヶ月弾いてすっかり慣れてしまったものをその翌日に全く別なものに切り替えなくてはなりません。おまけに録音ですからね…。
本番はほぼ一発OKで終わりまして良かったです。この放送は11月30日だったそうですが聞き忘れました。
翌10月28日から歌舞伎座の稽古開始。
私が舞台をさせて頂くのは仁左衛門さん初役の「河内山」です。「河内山」は今まで何度もやっていてきっかけや弾く内容に迷う事はないのですが「自分が舞台を勤める」ということで緊張もあり、稽古から舞台稽古、初日、1週間目くらいまではなかなか整理できなくて頭の中はゴチャゴチャ、大変でした。
特に感じたのが「質見世」の難しさ。時間にして約20分の短い舞台ですが世話狂言の黒御簾の基本要素が凝縮されているようで、初めのうちはきっかけに追っかけられている状態でしたが、慣れてきてからは「ここは変化を付けてみよう」「この台詞をもっと聞いてみよう」など工夫を考える余裕がでてきまして「面白いなぁ」と思えるようになりました。しかし毎日弾いていても幕明きから仁左衛門さんが花道から登場して座敷にはいるまでの間というのはきっかけの連続で息を詰めていますから気が付くと無酸素状態になっているんですね。
日が経つにつれお芝居もどんどん変わり、それにつれて黒御簾にも仁左衛門さんからいろいろ注文があり私なりに考えて弾いてみて、その都度OKを頂いてどうにか無事に千穐楽を迎えることができましたが、何だかどうも緊張から解放されてドッと疲労が出ました。波乱の幕開けだった11月ですが良い勉強させて頂きました。
11月のある日のこと。
「朝ご飯でもいただきやしょう」と台所を覗くとお鍋にひじきの煮たのがありました。もう一品くらい何かないかしらと冷蔵庫をあけると近所で売っている美味しい油揚げがありまして、これをちょっとオーブンで炙ってカリカリにすると美味しいのでこれをこさえてお膳に並べたんですけど、なんのこっちゃない、朝から「ひじきに油揚げ」定食です。毎日「ひじきに油揚げ」という台詞を聴いていて、実物が目の前に並んでいるんですから見て一人で吹き出しちゃいました。
お腹に優しく体には良い献立ですがその日はどうもぼんやりしていたような…。
11月のお仕事は昼の「関の扉」と「河内山」だったので毎日二往復生活。
昼間は時間がありましたので「スピーカーのエッジ張り替え」というものに挑戦しました。
今年に入ってからですがうちのスピーカー、JBL「Decade36」のネットをはずしてみたらウーファーのウレタンエッジ(コーン紙と金属フレームをつなぐフワフワした部分)がぼろぼろになっていました。このスピーカーは製造されて30年経ちます。中古で買ったときにすでに10年目、片側はエッジ張り替え済みだったのですが、何もしていないもう片方が完全に劣化しまして粉状になっていました。
メーカーに修理に出すと片側4万円くらいかかりましてペアで約8万。今となっては中古で売っても値段が付かないしジャンクでオークションに出すか、でも初めて買ったJBLで愛着もあるし…いろいろ考えながら「ヤフーオークション」見ていたら「JBLの10インチ用ウレタンエッジ 3900円即決」というのがありました。
説明書付きで初心者でも大丈夫というコメントを見て、この値段で上手く直ればこした事ないしダメ元で一丁やってみるかと注文。品物が届くまでに下準備がありますので早速作業に取りかかりました。
まずはユニットをスピーカーの箱からはずします。こんなのも初めての事なのでドキドキしますね。ユニットをはずしたらガスケット(ウレタンエッジの上に張ってある仮押さえの薄いウレタン)を慎重に剥がし、そのあとぼろぼろになったウレタンをはがしますが、ここからが根気の作業。金属のフレームに残った接着剤とコーン紙の裏に残っている接着剤をきれいに剥がさなくてはなりません。これも20年以上前の接着剤ですからカチカチで、シンナーを塗りながら柔らかくしてドライバーなどでこそげ落とします。こちらは以外と簡単にガシガシやってピカピカになりました。
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左:ウレタンエッジを
はがしたユニット
フレームには接着剤とウレタンのかすが付いていますので、金属の地が出るまで磨きます |
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JBL 125A
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大変だったのはコーン紙の方。紙の裏に接着剤と残ったウレタンが付いていましてこれにもシンナーを塗って溶かしながら取っていきますが、紙に付いた接着剤をきれいに落とすのが本当に一苦労でした。只ひたすらシンナーを塗っては柔らかくなった接着剤を指でこすり、ころころ玉状にして取っていきます。こっちはスピーカーの大切な部分ですから力加減も難しく神経を使いました。
きれいになったところで新しいエッジを接着していきますが、何といっても初めてやる事ですからおっかなびっくり。ボンドをコーン紙の裏にサーッと手早く塗りエッジを乗せて接着していきます。これは柔らかいウレタンと紙の接着なので思いの外簡単に出来ました。ボイスコイルの中心を出すのも上手くいきましてこれで一旦乾燥させます。コーン紙側が出来たら次は金属のユニットとエッジの接着。乾燥させてエッジの浮きやボイスコイルの擦れが無い事が確認できたらガスケットを元通りに張って完成。
次にスピーカー内の接点を復活剤で磨きナノカーボンを塗ってリフレッシュ、ユニットを元に戻し各ユニットのねじを締め直して「JBL L-36 素人による平成の大修理」が無事に終わりました。
早速音を出してみましたが、いやー鳴りました!ちょっと感激でした。新しいエッジは堅いですからじっくり音を出しながら慣らしていこうと思っています。
スピーカー修理ついでにオーディオまわりの大掃除になってしまいまして、アンプもホコリを拭き取って真空管を磨き上げピカピカに。コネクター群も接点復活剤で磨いてナノカーボンで仕上げてケーブルを元通りにしてJAZZのオリジナルレコードをかけて試聴。真空管が暖まってくるにつれ音が滑らかになり今までよりクリアーになったような気がしました。最近は「iPod」を真空管のアンプにつないで聴いていますがこれも良い感じです。
11月歌舞伎座が25日に千穐楽。翌日は1日休みになりまして27日から12月歌舞伎座の稽古開始。注目は何といっても勘九郎さんの「勘九郎」最後の舞台「今昔桃太郎」ですが、12月の仕事はこれだけではなく「梅ごよみ」「たぬき」「阿国歌舞伎」などどれも用事がありまして、稽古中は朝から晩までずっと歌舞伎座に詰めているような状態で初日が明くまでは大変でした。
「桃太郎」では途中舞台に出るんですが、初めての体験!「桃色」の紋付きを着ています。これは衣装の方の着物で「桃色」というよりは生地がピカピカした素材なので明るい「ピンク」といった感じ。これに「桃色」の肩衣、「緑色」の前掛けという「桃」カラーで山台に乗って登場します。まぁまだ公演中ですから見てのお楽しみという事で、終わったら面白かった事など書いていこうと思います。
一昨年、昨年と7ヶ月、6ヶ月旅に出まして、昨年末から今年にかけては5ヶ月連続旅。毎年最低6ヶ月は旅に行くのが当たり前のようになっていた今日この頃ですが、今年は何と4ヶ月止まり。残りの8ヶ月はすべて歌舞伎座にいた、という珍しい年でした。
2005年1月は歌舞伎座でスタート。
今年に続いて2年連続播磨屋さんの「土蜘」で新しい年の幕開け。今年やったばかりですから何となく頭には残っているのですが、さらってみると忘れちゃっているところもあり。弾いてみるとあらためて長い曲だなぁと思います。
ただ今最後の追い込み中。
12月31日
26日に歌舞伎座が千穐楽になりました。12月の仕事は「梅ごよみ」「たぬき」「今昔桃太郎」で昼過ぎから夜9時半まで歌舞伎座を出たり入ったり。
「桃太郎」の用事は結構忙しく、幕が明いてから三津五郎さんがすっぽんから出てくるところまで20分くらいの間に数カ所、黒御簾の用事がありましてそれを終わると黒御簾から出て下手袖にある山台に乗ります。大勢の踊りが終わって勘九郎さんの「俺は踊りの止まらない只の太った中年だ」で踊り地にかかりまして山台が押し出されてここからが「勘九郎さんスペシャル」の始まり。
藤娘の「藤音頭」から始まり「まかしょ」「舟弁慶」「棒しばり」紅葉狩の「山神」「身替座禅」「鏡獅子」「高坏」「連獅子」そして福助さんが出てくるところの新曲、とここまで約20分弱でしょうか。弾く事はこれといって難しい事はないのですがとにかく調子替えが忙しいのです。
「藤音頭」「まかしょ」三下り→「棒しばり」本調子→「身替座禅」「鏡獅子」「高坏」二上り→「連獅子」本調子→「新曲」三下り
といった順で替えていきますが、私は三下りで踊り地を弾いてすぐに藤音頭で替手を弾くのに一旦本調子にして終わる間際でまた三下りに戻しすぐに「まかしょ」になりますので「藤音頭」「まかしょ」間で三下り→本調子→三下りとひと手間増えています。そこにきて「藤音頭」を普段の倍くらいのノリで弾きますのでその忙しい事。
私は山台の端に座っていましたので押し出されると一番舞台中央寄りになります。
勘九郎さんは私の左前方2メートルくらいのところで踊っていらっしゃるわけで、この近い距離で勘九郎さんのキレのある踊りを毎日見るのはすごい迫力で気持ちよかったですね。出入りするときには私の真横を通りますから、たまに「棒しばり」の時の棒が顔のギリギリのところをかすめていったりヒヤヒヤする事もありました。
千穐楽にはこれに加えて「おまけ」赤い頭をつけて獅子の「髪洗い」を二杯、思い切り振って客席は興奮で大変な事になっていました。お客さんの拍手、どよめき、歌舞伎座の客席が轟々いっていまして、拍手も今までに聴いた事のない舞台にいる私たちも圧倒されるような「すごい音圧」の拍手でした。
山台が引かれて下手袖に引っ込むと肩衣、前掛けを取ってすぐに黒御簾に入り、調子を変えるとすぐにきっかけがやってきて合方を一つ弾きます。そのあとは幕外の引っ込み二つ弾いて幕となります。
又五郎さん、小山三さん。勘九郎さんの初舞台に出られたお二人がご健在で、この舞台に出演されたという事は素晴らしい事だなぁと思いました。
千穐楽にはカーテンコールがありまして花道を引っ込んだ勘九郎さんが再び登場。ご挨拶がありました。又五郎さんのお言葉も暖かく、客席舞台みんな涙、涙。
最後は勘九郎さんがご自分で定式幕を引いて打ち出しとなりました。
私たちが着ていた「桃色」紋付きですが、初めて着たのは11月末の舞台稽古の時。普段濃い色の着物ばかり(黒御簾にいて客席から目立たないようにという事で)着ていますからこの明るい色にはびっくり。そして実際に着てみると何というかどうも…こっぱずかしくて楽屋の廊下に出るのにもひと覚悟いりました。でもみんな結構気に入ったみたいで楽屋で写真撮ったり大騒ぎでした。
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長唄さん集合写真
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2枚とも千穐楽撮影
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前日の興奮が醒めやらぬまま翌27日から1月歌舞伎座の稽古開始。
一月のお仕事は「操三番叟」「加賀鳶」「土蜘」です。1年ぶりの「土蜘」ですがやっぱり長い!「加賀鳶」も1時間以上座っていますから足が持たないんですね。
舞台稽古が終わったあとは足が痛くてしばらくズキズキしていました。
連日ドドッと稽古が進み、29日に2004年度全仕事終了。
今年は旅が少なかったものの後半は夜遅い仕事が多くて結構ハード、ちょっとくたびれました。
どうも今年はあまり更新も出来ず我ながらパッとしないなぁと思っておりましたが、又来年ものんびり続けていこうと思っておりますので又遊びに来てくださいね。
今年も一年どうもありがとうございました。皆さまどうぞ良いお年を。
12月31日(2回目)
しかしまぁ、大晦日に雪になるなんてびっくりです。
お正月の初日まで3日間のお休みですが、年賀状印刷と大掃除に追われています。
その掃除の最中、掃除機をかけ始めたらボコッといって掃除機の先、吸い込み口部分が取れまして赤と白のコード二本でびよーんとぶら下がってしまいました。
何だこりゃ?これから家中掃除機かけというところなのにまったく!肝心な部分が壊れてしまいまして仕方ないのであとで買いに行こうということになりました。
大晦日に予想外の出費。
2年続けて大阪年越しでしたので東京での年越し蕎麦は久しぶり。
雪の中、浅草まで出かけて並木に行ってきました。いつも30分くらい並ぶのが当たり前なのでそのつもりで行ったら、雪のためか店の前には誰も並んでいません。
中にはいると席もちょうど空いていてすぐ座れましたがこんなの初めてですね。
熱燗一本に鴨南、天そば、おかわりにもりを一枚頂きました。久しぶりの並木のお蕎麦美味しかった。
帰りに熊野屋さんでくさやを買って(本当に久しぶり、良いのがありました)松屋のベスト電器で掃除機を購入。今流行のサイクロン式にしました。家に帰って早速掃除機かけ始めたんですけど、いやー何だか面白いです。売り文句通り紙パック式に比べて排気がきれいで匂いが気になりません。本当は「ダイソン」欲しかったんですけど、あれ高いんですよね。
という大晦日の出来事でした。
それでは皆さま良いお年を