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十五代目片岡仁左衛門襲名披露
公文協東コース
PART 1(乗り込み〜中日)


6月28日  乗り込み
 
さあ旅の始まりです。
12時15分羽田空港集合、ここから仁左衛門さんをはじめ、全員で旭川に向かいます。1時18分羽田発、天候が不安定なせいか飛行機はずいぶん揺れました。2時55分旭川空港到着、天候は雨。飛行機がだいぶ遅れたので旭川市民文化会館について荷物を広げ支度をするうちに4時半、顔寄せが始まりました。
 
 今日の舞台稽古は「吉田屋」「口上」「鳴神」の順番で進みますので、まあ4時間もあれば終わるだろう、なんて言っていたのですがこれが全然進みません。考えてみると「吉田屋」も「鳴神」も道具が結構大変な芝居なんですね。結局全部終わったのは10時半くらいになってしまい、来た早々ハードな一日となりました。
 明日は11時から「鳴神」と「引窓」の舞台稽古で、5時から一回公演、初日を迎えます。
 すっかり遅くなってしまいましたので今日はこの辺でおやすみなさい。

6月29日  旭川市民文化会館
 
朝起きると気持ち良く晴れて空気は爽やか、今の季節の北海道は本当に過ごしやすいですね。
 今日は初日、5時からの一回公演ですが昼間「鳴神」の素の舞台稽古、「引窓」の舞台稽古がありました。昨日遅かったうえに、夜あまり寝られなくてやや疲れ気味、舞台稽古の終わった後の眠いこと。
 5時、初日の幕が明きました。お客さんは八割くらいでよく入っていました。「吉田屋」で仁左衛門さんが花道に出ると大きな拍手、華やかで良い雰囲気です。大きなトラブルもなく8時半無事初日終了。
 今日は終わってバスで札幌に行くのですが、初日早々行程2時間半約150キロの大移動。バスは二台出るのですが一便には仁左衛門さん、田之助さん、時蔵さん、左團次さん、長唄、常磐津、囃子が乗って8時50分旭川出発。
 バスの座席というのは暗黙のうちにだいたい決まっていまして、前の方には役者さんが座ることになっているのですが唯一例外が左團次さん。いつも最後尾の右側ということになっていますで、黙っていてもそこはいつでも空いています。
 仁左衛門さんからビールやお茶の差し入れがあって、バスの中はだんだん賑やかになってきます。前の方では仁左衛門さん、田之助さん、時蔵さんが盛り上がっているし、後方では左團次さんが煙草をぷかぷか。走り出して約一時間、岩見沢PAで小休止しているうちに二便が追いつきました。バスから降りると爽やかを通り越して寒いのでびっくりしました。高速道路の掲示板では気温15度、こりゃ寒いですね。
 11時頃札幌市内に入り、11時20分ホテル到着。お尻は痛いし背中は痛いし2時間を越えるバス移動はやっぱり大変です。
これで30日、7月1日と札幌滞在なので少しゆっくりできそうです。

6月30日  札幌市教育文化会館
 
昨夜ホームページを直したりしていて寝たのが3時過ぎだったので、今朝起きたら9時40分。でも結構よく寝られたのですっきりしました。
 タクシーで会館に向かう途中、大通り公園の横を通るのですが、バラがたくさん咲いていてとてもきれいです。花壇の中もいろんな色のパンジーが満開で、まるで絵の具をまいた様でした。この時期の北海道はお花が見事です。
 天候は曇り、気温は日中16度と低めで汗をかかなくて良いのですが上着がないとちょっと寒い感じです。
 本日は昼夜ともほぼ満員で大入り袋が出ました。
昼の部の「鳴神」で大ハプニング。幕切れの六法の引っ込みで信二郎さん、お決まりの六法の振り事で大きく手を振りかぶった途端に、かつらが飛んでしまいました。花道は短いのでそのまま入ってしまいましたが、あとに鳴神上人のふわふわのいがくり頭が花道の明かりのところにちょこんと乗っていて可笑しかったです。
しかし鳴神でかつらが飛んだのは初めて見ました。

7月1日  札幌市教育文化会館
 
札幌公演二日目です。天気予報が当たって、風は強いし雨は降っているし荒れ模様の天気。タクシーの運転手さんによると久しぶりの雨だそうです。
 今日も昼夜ほとんど満員で、二日間とも本当によくお客さんが入りました。芝居の方も落ち着いて、つつがなく終了。
北海道は今日でおしまい、明日は移動日で秋田に行きます。

7月2日  移動日 札幌→秋田
 
先月の28日に北海道に乗り込んでドドッと4日間が過ぎました。体はようやく巡業のペースに慣れてきたものの芝居が落ち着くまでというのは結構神経を使います。ちょっと疲れ気味でしたのでこの移動日はありがたいですね。
 仁左衛門さん、左團次さん、時蔵さんはこの移動日を利用してゴルフだそうです。
 10時4分、札幌駅からエアポート快速に乗り新千歳空港へ。秋田までは50分のフライトですが、短距離の国内線の飛行機というのは、新幹線に羽根を付けたみたいなかんじで小さいです。ちょっと居眠りをしているうちに秋田空港着。市内まではバスで約40分、2時過ぎに秋田キャッスルホテル到着。
 フロントでコインランドリーの場所を聞いてすぐ洗濯に出かけましたが風は爽やかで気持ち良いし、いい散歩になりました。
 洗濯物を部屋に干して再び散策へ。秋田に来たのは10年ぶりくらいで、あまり記憶に残っていないのですが、秋田新幹線が通ったせいか駅前がだいぶ様変わりしたような気がします。しばらく町中を歩いていたのですがどうもさっぱり忘れていて「ふーん、こんなところだったかなあ」という感じ。
明日会館に行って何か思い出すかなあ。

7月3日  秋田県民会館
 
今日は雨が降ったりやんだりのはっきりしない天気で、昨日までの涼しさとはうって変わってとても蒸し暑くなりました。
 秋田県民会館は、ホテルキャッスルとはお堀を隔てた秋田城址のなかにあります。建物の外観に変りはなく古いのですが中に入ると客席はピカピカだしロビーもきれいで、こりゃ前に来たところとは違うのかな?と思っていたら何年かかけて内装をリニューアルしたそうです。
 今日の開演時間は1時と5時半で、いちばん時間が詰まっているパターンなので何だか慌ただしく一日が過ぎました。今晩も秋田泊まり、明日は盛岡へ移動です。

7月4日  岩手県民会館
 
昨日の蒸し暑さはどこかへ行ってしまって今日は涼しくなりました。
 今朝は9時42分の秋田新幹線で盛岡へ移動なのですが出発前、秋田駅駅ビルで「樺細工」のお店を見つけました。
 樺細工というのは桜の皮の細工物で秋田県角館の名産品。伝統工芸品に指定されています。その樺細工の小箱が、三味線の糸入れや小物入れにちょうどいいので、こっちの方に来ると探すようにしているのですが、そのお店にはサイズ違いで3種類もあったので嬉しくなって買っちゃいました。うちに帰れば5,6個あるのですが、見つけるとどうも買ってしまうのですね。

 11時17分盛岡到着。去年の巡業でも盛岡には2回来ているのですが、宿泊だけで公演はありませんでした。
 私自身、岩手県民会館に来たのは10年ぶりです。町の景色は去年来ていますから結構覚えているのですが、会館の中の様子ははさっぱり記憶から消えていました。
 今年の旅は上演時間が長いので(昼夜ともそれぞれ約3時間半かかります)街に出て歩いている時間がありません。今日も昼夜の間にアーケードをぶらぶらして、コーヒーを飲んでいるうちに着到の時間になってしまい、急いで劇場に戻りました。お客さんの入りは昼夜とも上々で、札幌に次いで二度目の大入り袋が出ました。
 
今晩は盛岡泊、明日の朝は仙台に移動です。

7月5日  宮城県民会館
 
東北地方の新幹線は前何両が東北新幹線の「やまびこ」で、うしろ何両かが秋田新幹線の「こまち」というような編成で走っていますので、盛岡や福島ではよく連結作業で待つことがあります。
 今朝の新幹線も盛岡始発で出発を待っていると「秋田新幹線を連結して発車します」とのアナウンス。どんな具合なのかと見に行きましたが、新幹線の先っぽの丸いふたが開いて連結器が出ています。双方がそろそろと近寄ってガチャーン、ぴたっと連結器がくっついてただそれだけのことなのですが見ていると面白いものです。連結と同時に発車のベル、こんなのを見ていて乗り遅れたなんていうのはカッコ悪いですから急いで席へ戻りました。
 10時32分盛岡出発、仙台までは約45分です。この電車は仙台を出ると大宮まで止まらないので、居眠りをして乗り過ごすと大変なことになります。
 11時17分仙台着。全員タクシーで会館へ向かいます。
この会館は毎年来ますので、皆楽屋がどこになるかだいたいわかっていますから自然と地下に降りたり二階に上がったり手間いらず。私も迷わず二階に直行、「長唄、囃子、竹本」とちゃんと書いてありました。
 楽屋のお茶や飲み物が出ているテーブルには仙台名物「笹蒲鉾」が置いてありましたが、皆通りすがりに一つずつとってきたのであっという間になくなってしまいました。(ピラニアみたい)
ここは二日間の公演なので少しゆっくり荷物を広げられます。

7月6日  宮城県民会館
 
仙台二日目です。
朝方は曇っていましたが、昼ごろから日が射しはじめ、風は涼しく湿気もなく実にさわやか、久しぶりに気持ちのいいお天気になりました。楽屋もクーラーを入れるより窓を開けていたほうがずっと気持ち良いのです。
 昨日今日ともお客さんはよく入っていました。大向こうさんも東京から来ていたようで、いつもよりいい雰囲気で客席も盛り上がっていました。やっぱり歌舞伎にはこれがなくっちゃいけません。
 まだ梅雨明けしていないのに今日は一日爽やかでした。終わって楽屋を出るとひんやりしていて気持ち良いのですが、ちょっと歩いているうちに肌寒くなってきて気をつけないと風邪を引きそうな感じ。
本当に夏の巡業なのかしらん?
明日は朝、バスで山形へ移動です。

7月7日  山形市民会館
 
今朝はバスで山形へ移動です。
予定では1時間半かかるとのことでしたが40分で到着。私はバスが走りだしてすぐ寝てしまったのですが、気がついたらもう山形市民会館の前でびっくりしました。
 今日の山形は快晴、トラックに2台積んである洗濯機はフル回転でトラックの間に張られたロープには洗濯物がいっぱい下がっています。旅が始まって初めての夏らしい一日でした。
 ここの会館も勝手知ったる何とやらで、皆バスを降りるとそれぞれの楽屋へ迷わず向かいます。飲み物を買いにロビーに出るとイヤホンガイドやお土産屋さんも支度の真っ最中です。襲名記念の湯呑や仁左衛門Tシャツいろいろなものが並んでいますが、そのなかに変わったものを発見。
 

左團次コロン

その名も「左團次コロン」。
ネーミングだけでも充分可笑しいこの品。洒落たパネルの中には、ニッコリしている着物姿の左團次さんの写真、その前に黒(男性用)と赤(女性用)の箱が積んであります。
 それを見た大阪の狂言作者さん「ん!?、何やこれ、けったいなもの売ってるわ。」
内輪では皆面白がっているのですが、とにかくテスターが置いてないのでどんな香りかもわからず謎を呼んでいます。ご観劇の節はぜひ購入して感想をお知らせください。

 ロビーに張ってある本日の公演のポスターには「完売御礼」のシールが!。なるほど幕が明いてみると昼夜とも満席、3回目の大入り袋が出ました。

 今日終わると明日は一日休演日。
9日からは三日間自宅通勤になりますので、最終の新幹線に間に合う人は終わるとどんどん帰ってしまいます。三味線も最後まで用のあるのは私一人なので、広い楽屋に三味線が一梃ぽつんと置いてあって、なんとも寂しい楽屋風景。

三味線 

私は明日の始発(6時25分)の新幹線で帰ります。
これで巡業前半の山場が終わり、このあとは自宅通勤、群馬、茨城路、と続いていきます。

7月8日  移動日(帰京)
 
例年では山形から新潟へ一日かけての移動日なのですが、今年は変則のコースで一旦自宅通勤となりますので全員帰京です。
 指定の切符は10時過ぎだったのですが、のんびりしていても仕様がないので、私は始発の新幹線に乗変して帰ることにしました。
 
 目覚ましを3つかけて5時20分、無事起床。
うー、べらぼうに眠い!。部屋にいると再び寝てしまいそうなので早めにホテルを出て山形駅へ。ホームのお土産屋さんをぶらぶらしていると、向こうより時蔵さんがやってきます。暫くして左團次さんがやってきて、皆早いなあと思っていたら今日もゴルフだったのです。今回の巡業では移動日ごとにゴルフの予定が入っているようで、皆さんタフですね。
 私、実は山形新幹線に乗るのは初めてでして、先日の秋田から盛岡の移動で秋田新幹線にも乗りましたので、これで日本の新幹線の全区間制覇しました。
 山形を6時25分に出て途中福島で東北新幹線を連結。盛岡駅で外から見ていたのを列車内で体験したわけですが、連結の瞬間持っていたコーヒーがこぼれそうになりました。そろりそろりと作業をしていてもあれだけ大きいものをつなげるのですから結構な衝撃です。
上野に9時18分到着。
 東京は暑いんだろうなと思って外に出ると、涼しくてカラッとしているのでびっくりしました。

7月9日  戸田市文化会館
 
今日は2時半からの一回公演なので、ゆっくりで何となく気が楽です。
 私、ご当地は初お目見えで、埼京線にも初めて乗りました。
「駅すぱあと」で調べていったのですが検索結果の通り1時間ちょっとで着いてしまいました。この手のソフトは巡業では大活躍です。
 この会館は楽屋が狭いので廊下には荷物の山、人がすれ違うのも大変です。地方も一部屋にまとめられてしまったので場所の振り分けが大変でした。
 巡業が始まってから初めての東京近郊の公演なので、指導した「鳴神」の様子を見に天王寺屋さんがいらっしゃいました。
 終演後外で車を待っていると仁左衛門さんが顔だけ落としてバスローブのまま楽屋から出てきて、さっと車に乗ってお帰りになりました。楽屋が窮屈だったので帰ってゆっくりお風呂に入るのかな。

7月10日  サンパール荒川
 
ここは地下鉄ですと日比谷線の三ノ輪駅、日光街道と明治通りの交差点の大関横丁から10分ほど歩いたところにあります。信号には「サンパール荒川前」とあるのですが、建物には「荒川区民会館」とだけしか書いていないので迷う人が多いみたいです。今日は家から近いので晴れていれば自転車だぁー、なんて思っていたのですが天気が怪しいのでタクシーで行きました。土曜日で道が空いていたので乗って8分くらいで到着、こりゃ早い!。
 私たち地方の楽屋は別棟の和室で広くて使いやすいのですが、別棟ゆえ舞台のモニターが通じていません。舞台の音が聞こえない楽屋というのは実に不安なもので、時間を見ながら早め早めに舞台に降りるようにしないとなりません。時間を忘れてうっかりおしゃべりに花が咲くと実にあぶないんです。
 都内近場ということもあって大向こうさんも大勢来ていました。お客さんもほぼ満員でなかなかいい雰囲気。昼の部終わって外に出ると、朝方は涼しかったのにすごい蒸し暑さ。夕方には雨が降りだし大荒れの天気になりました。どうも三味線にとってはいやな天候が続きそうです。

7月11日  八王子市芸術文化会館いちょうホール
 
昨日の天気を引きずって今日も朝からすごい雨。
今日は東京を縦断して、うちからはちょっと遠い八王子です。八王子に仕事で来るのは久しぶりで、駅前ががらっと変わってしまったのにはびっくりしました。
 「いちょうホール」という所も初めてなので駅からタクシーで行ったのですが、普通の住宅地を走っているといきなり目の前に大きな建物が現れます。中に入ってみると意外にこじんまりしたホールで楽屋もまあまあ使いやすかったのですが、困ったのは楽屋の空調。
 冷房を強くすると少しカラッとするのですが、天井の吹き出し口でなぜか結露して水滴が落ちてきて、おまけに寒くて楽屋にいられない。冷房を切ると、猛烈な湿気に三味線はぽこぽこ、棹は曇ってしまうし本当に参りました。
 冷房と湿気で体調は悪いしすごい疲労感のうちに1日が終わり、楽屋を出ると朝にも増してすごい雨。あ〜ぁ、早く梅雨明けないかな。
 明日は休演日です。

7月12日  休演日
 
どういうわけかこのところひどく疲れていたので、このお休みはありがたいです。
 今日は夕方から花組芝居の「奥女中たち」を観に行きました。実は私「花組」を観るのは初めてです。加納さんは大学の先輩なので以前から知っていますが、どうも今まで見に行く機会がなかったのです。スズナリに来たのも久しぶりです。うちの家内はしょっちゅう来ていますから勝手がわかっているのですが、私は慣れないものですからぎこちなくチケットを切ってもらっておそるおそる入場。
 率直な感想としては、加納さんならではのものすごく高度な歌舞伎のパロディだなという感じ。台本も加納さんが凝って書かれたものなのでしょう。せりふを聞いていると一言一句、どこから引っぱってきたのかがわかるし、つい笑ってしまうところがいっぱいありましたが、「女中たち」の筋と重なってくるあたりはすこし退屈で、無理があるかなあと思いました(この芝居を私が知らないということもありますが)。
 一番の傑作は「岩藤娘」で、甦った岩藤が「藤娘」を踊るので「岩藤娘」なのですが、振りや細かい仕草、表情を見ていると、こういうところのお遊びはさすが加納さんです。次に何をやってくれるのか期待しちゃいますし、すべて可笑しかったです。岸田今日子さんのナレーションも最高でした。
 終わって一番最初に思うのが芝居の感想ではなく「お尻が痛い」というのはスズナリ独特のものなのでしょうか。

7月13日  群馬音楽センター(高崎)
 
さて今日から一週間、乗り打ちの群馬、茨木シリーズです。
荷物をもって駅に行く間(ほんの100メートルくらいなのです)だけでも雨が小降りにならないかな、という願いもむなしく朝から土砂降りの雨。
 私の旅の荷物三点セット、三味線、パソコン、がらがら引っ張るトランク、どれも濡らしたくないものばかりなのですが雨は強くなる一方。しょうがないので家内に荷物を一つ持ってもらってマンションを出ると、そこに空のタクシーが!。
 もう迷わず止めて上野駅まで行ってもらいました。あーぁ、助かった。
上野10時18分発の全車両二階建ての新幹線Maxで高崎へ。
群馬音楽センターというのはその名の通り演奏会向けのホールなので実に舞台の上が複雑です。まず建物の形がでこぼこしていますから(何角形?だかわからない)舞台も四角ではないので楽屋から舞台に入ると方向がわからなくなります。あと固定の反響板があちこちに立っていて使い勝手が悪いのです。幕も外国の劇場についているスカートみたいな幕で、明いていく加減がどうもよくわかりません。
まあこういう苦労も旅ならではですが、どこでも行った先で上手い具合にどうにかなってしまうものです。
 雨がすごいのは東京だけかと思ったら、北関東も荒れ模様のようで一日中よく降っていました。今回三味線弾きの中に群馬県太田市在住のGさんという人がいまして、このあたりに来るとは皆とは逆に自宅通勤になるのですが、車で来ているので乗せてもらって終演後前橋へ。高崎、前橋間は約12キロで車で30分ほどで到着。
移動のバスに乗るよりは数段身体が楽でした。

7月14日  群馬県民会館(前橋)
 
二日間続けて「群馬〜」というホールなので、タクシーで行き先を言うのに「群馬・・?県民?市民?文化会館?センター?えー何だっけ?」
 旅が続いてくるとだんだんわからなくなってきますが、今日は群馬県の県庁所在地、前橋です。
前橋というと、とにかく暑いところという印象があります。
 10年前の公文協で来たときのことですが、コンビニに行くのに炎天下の道を歩いているとドライヤーの温風のような風が吹いていて、まあとにかく暑い!今まで経験したことがない気温なんですね。劇場も外気で建物全体が温まっていて冷房が全然効きませんから舞台の上も朦朧としてくるような温度です。へろへろになってホテルに帰り、天気予報を見ていると「本日前橋市で、39度という今年一番の最高気温を記録しました」だって。こりゃ暑いわけです。
 今日は相変わらずの雨で日差しがないのは良いのですが、すごい蒸し暑さなので一日ほとんど楽屋で過ごしました。
 終演後、太田市在住のGさんの車でGさんの本拠地太田へ。途中街道沿いのファミリーレストランで食事をしていると一便のバスが通過、早速一便に乗っている仲間から電話がかかってきまして「バスから見えましたよー」
 食事を終えて再び走り出すと目の前にバスが。横に並んで見上げると見慣れた顔が乗っていてこれが二便なのです。
「よし!二便よりは先に着こう」というのでしばしのデットヒートの末、二便を振り切り走ること30分、太田市に入りました。ホテルに着いて名簿を見ると、何と食事中に抜かれた一便がまだ着いていないのです。
「やったー、一便より先に着いた!」フロントで騒いでいるとそこに一便のバスが到着。
 
今日みたいな移動だと楽しいのになぁ。

7月15日  太田市民会館
 
群馬県は太田市に来ました。
昨日のホテルですが、部屋についているものは石鹸と歯ブラシだけという今どき珍しい質素なホテル。どうもこの群馬シリーズのホテルは、はずれが続いているなあなんて思いながらエレベーターに乗ると「朝食無料サービス、アメリカンスタイルの朝食をどうぞ」と書いてあります。結局私は寝坊して行けなかったのですが、行った人の話。その人は7時頃行ったのですが、置いてあるのはパンとレタスだけ。まだ早いからこれからベーコンやスクランブルエッグなんかが出てくるのかと思ったら何も出てこなかったそうです。いったい何がアメリカンなんだ?成程これだから無料サービスだったんだ、と食べに行った人はみんなぼやいていました。
 太田に来たのは10年ぶりです。朝方は小雨が降っていたのにだんだん晴れ始め真夏日になり、蒸し暑さも半端でありません。今日は中日なので大道具さん、運送屋さん、頭取さんにご祝儀を渡しに楽屋を歩き回り、ほかの人も皆同じことをやっているのでどうも楽屋中慌ただしいです。いつもの見慣れた中日風景ですがこれを過ぎると日程の進むのが次第に早く感じられてきます。
 終演後バスで、埼玉県は熊谷へ移動。約40分でホテルに到着したのですが、このホテルも昨日よりは備品が整っているものの(冷蔵庫、ティッシュペーパー、シャンプーが揃っていました)部屋が暗くて実に侘びしい旅の宿です。まあ一泊、寝るだけですから善しとしましょう。