4月13日
朝7時ころ目が覚めてしまい、天気も良かったので8時前にホテルを出てお山(金比羅さん)に登りに行くことに。これでここに来てから5回目の金毘羅詣、本当にいい運動になります。
午前中から風があったのですが昼前から大変な強風になり、テレビで「瀬戸大橋線のマリンライナーが強風のため運転を見合わせている」との臨時ニュース。
残念なことに芝翫さんは本日も休演。「供奴」の頃から風はますます強くなり金丸座の障子はガタガタいいっぱなし。
夕方になって気温が下がり始め、風が強いから楽屋が急に寒くなってきました。黒御簾にいてもすきま風があちこちから入ってきて足が冷たく手もコチコチ。空模様まで怪しくなってきて、こんなんで雨に降られたのではかなわんと急ぎホテルへ帰りゆく(供奴の歌詞みたい)。
結局瀬戸大橋線は風のため一日立ち往生してしまってだいぶ影響が出たそうです。お参りの人が何となく少なく見えたのもこれが原因かなあ。
4月14日
今日はいいお天気でした。久しぶりに三味線もシャリッとした音で気持ち良かったです。芝翫さんは本日も休演。
この町に来るとどうしてもうどんを食べることが多くなるのですが、町中にあるうどんやさんはまあどこも同じような感じです。
7、8年前に「恐るべき讃岐うどん」という本が出まして、この本には町中にある有名どころは全然出ていなくて地元の人にしかわからないマニアックな店ばかり取り上げられています。
そのなかに取り上げられた「宮武」という店があります。琴平の町からタクシーで1500円くらい。畑の真ん中にあるのですが、実に野趣あふれるうどんやさんでした。こちらの独特の食べ方に「生醤油うどん」というのがあります。ここではつめたいうどんに醤油をかけて生姜を好きなだけおろしてのっけていただくというものなのですが、いやあこれは美味かったです。
セルフサービスでどんぶりにうどんを入れてもらって、野菜のてんぷらがずらりとならんだお盆から好きなものを取ってレジでお金を払いテーブルに行きます。そのテーブルのうえには生姜がカゴに盛ってあって横にはおろし金が置いてあり好きなだけ生姜を下ろして食べられるのです。「生姜食い」の私には嬉しいかぎりで一個丸々下ろしていただきましたが、口の中がきりきりとくるところに醤油の濃い味、そして大変に腰のあるうどん、本当に美味しかったです。
今回はまだ行っていませんが時間の都合がついたら行ってみようと思っています。皆さんも是非どうぞ。

4月15日
本日も朝からいいお天気で外を歩いていると汗ばむほどでした。
私たちの楽屋は金丸座に隣接している琴平町児童館というところを使っているのですが、この建物は東と西の窓があって日当たりがすこぶる良い所なのです。特に午後になると西日に晒されるため窓際にかけてある着物がほかーっと暖かくなっていて、干した布団のようにお日さまのにおいがするのですね。おかげで今月は着物も襦袢もさらさらしていて気持ちいいです。
病気休演中だった芝翫さんは今日から復帰されました。口上の後の花道での宗十郎さんとのトークショー?にも出演、お元気そうで何よりでした。
今月私の仕事は花道トークショーのお二人の引っ込みの「金毘羅舟ふね」を弾いて五時に終わるのですが、今日は終わってからお山に登りました。これで六回目ですが相変わらず体が慣れることはなく心拍数は150くらい、ひゃー苦しい苦しい。でも足はだいぶこなれてきたようで前ほど痛くなりません。五時過ぎると参拝の人も減り暗くなってきますのでちょっと寂しくなってきます。
金比羅さんを夜に登ったら怖いだろうね、なんて楽屋で話していたのですが、何と!毎日夜の10時過ぎに懐中電灯をもって一人で本宮の上の奥社まで行っている人がいるとのこと。奥社というのは本宮の右手を20分ほど行ったところにあるのですが、ここから先は木が鬱蒼としていて山道のようになり所々に苔むした祠があって昼でも薄暗い所です。ここを夜一人で歩くなんて考えただけでもびびりますが、夜食事の時にその御本人と一緒になりまして話を聞きました。
平気な顔をして「往復約1時間あれば帰ってこられます、今日もこれから行ってきます」と言っていましたが一体どういう人なんでしょうか?。
話を聞きながら私も、これを実行したらこんぴら歌舞伎日記のいいネタになるな、なんて一瞬思ったのですがまあまず無理でしょう。
一人じゃいやだけど長唄全員で提灯を提げて一度行ってみるか、という話が盛り上がっていましたのでそのうち大人数では行くかもしれません。その時はまた報告します。
早いもので明日はもう中日です。
4月16日
今日も朝からいいお天気で、半袖でちょうどいい陽気になりました。爽やかで気持ちが良いので楽屋にはいる前にお山に登ることにしました。昨日登っているので結構軽く登れましたが日差しが強くて暑いこと暑いこと。汗びっしょりかいて楽屋に戻ってきましたが体が熱いのでシャツ一丁になってしばし放熱。30分ほどしてようやく汗が引き着替えることが出来ました。
今日は中日なので大道具さんや楽屋係さんに御祝儀を渡しに金丸座を歩き回り、まあ毎月やっていることなのですが中日というのは忙しいです。本日は春らしい爽やかな1日でしたがまた明日から天気が悪くなるとのこと。
4月17日
こんぴら歌舞伎というのは旅に来ているとはいっても一ヶ所に居続ける京都や大阪と同じ感覚なのでだんだん変化がなくなってきます。そこにいくと巡業は毎日場所が変わり違う劇場、違うホテル、本当に書くことに事欠きません。
どうもこの三日間くらいの「こんぴら歌舞伎日記」は小学校の頃の「お天気日記」のように今日は晴れました、雨でしたなんていうことばかり書いていますね。で今日はどうなのかというと、変わったこともないのでまたお天気のことになります。昼間は薄日が差していいお天気だったのに3時くらいから曇ってきて、雨は降ってこないのですが気温が下がり始め舞台稽古の頃のように肌寒くなりました。風邪を引かないように気をつけよう。
4月18日
今日は朝から雨です。それもかなり強い雨で、風も強く気温も低いという憂うつな天候。そんな憂うつな日でしたが嬉しかったことが一つ、このホームページを見て下さった方が楽屋を訪ねて下さいました。インターネットの情報の早さというのは十分承知していますが、自分のホームページがこうして多くの方の目に触れているのかと思うと嬉しいようなこわいような、期待を裏切らないように頑張らなくてはいけませんね。
二部の「ちょいのせ」の幕が明いてありゃりゃ!。金丸座の入り口辺りが皆開いていてお客さんがぞろぞろ花道を歩いたりしてまだ席に着けない状態。たぶん一部と二部の入れ替えの頃雨が強かったので入れ替えがぜんぜん間に合わなかったのです。
以前はもっと一部、二部の間に時間があって、お茶子さんの短距離走(普段お茶子さんが席を案内をするのに歩く、客席の升を区切っている細い板の上を走る)や、いかに美しくその板の上を歩くかというファッションショー?をやったりしていました。偶然客席をふらふらしていた私が審査をやらされて賞状授与をしたり、とにかくいろんな面白い事をやっていました。どうも今回は芝居の時間がたっぷりでお客さんの入れ替えが精いっぱいのようです。

4月19日
昨日に引き続きまた雨です。
楽屋で三味線を出すと棹の勘所の所が湿気を帯びて曇っています。毎日よく拭いてしまうのですが指の当たるところには油っ気がしみ込んでいてそれが湿気を呼ぶようです。皮の表面もぺたっとしていて、撥も皮に当たるときしんでいる感じ。楽器を拭く布も湿気っているようでその布でいくら棹を拭いてもいっこうに滑るようにはならず、今日はここに来てから一番湿度が高い三味線にとっては最悪の日かもしれません。
二部の入れ替えはやはり間に合わず幕が明いて暫くざわざわしていました。5時頃には雨も上がりましたが暗くどんよりしていて参拝の人もまばら、お土産屋さんも早仕舞していました。

4月20日
今日は快晴です。天気予報では25度くらいになるとのこと。今日明日とNHKの録画があるので舞台のあちこちにマイクやら機材が置いてあります。収録するのは第二部の「ちょいのせ」と「かさね」です。
「ちょいのせ」で宗十郎さんが台詞の途中に「〜この清兵衛の男が立たぬということはない。立たぬときにはバイアグラ」というのを毎日やっています。これは東京でのお稽古の時、宗十郎さんがいきなりおっしゃって共演者の皆さんがひっくり返ってしまい(稽古中しばらく笑いが止まらなかった)初日が明いてからもお客さんを笑わせていた決め台詞なのですが、NHKの舞台中継でこれ言っちゃうのかなと思っていたらきっちりおっしゃっていました。今日はテストですがテストとは言ってもちゃんと録画していますし、明日の本番ではどうなるのでしょうか。(ちょっと期待!)
二日間雨でお山に登っていなかったので、終わってから一汗かきに行ってきました。

山門からの参道
4月21日
前に言っていた金刀比羅宮夜間詣ですが、どうせ暗いうちに行くのなら日の上がる前に登って本宮で日の出を拝もうではないかということになり五七郎さんと朝4時50分頃、まだ暗い中を出発。
さすがに商店街はまだどこも開いていませんが石段にかかると前に2、3人登っている人がいます。気温も思っていたより暖かく歩いているうちに汗が流れてきます。ホテルを出たときは真っ暗だったのにだんだん東の空が明るくなってきました。山門に着くと大きな提灯に明かりが入っていて、そこから続くなだらかな参道の左側に下がっている提灯や石燈篭にも明かりが入っていてなかなかいい雰囲気です。これは桜が満開の頃来たらいい夜桜見物が出来たことと思います、惜しかった!。途中も所々石燈篭に電気がついていて足元を心配することなく5時15分本宮に到着。